コラム

SEOとは?SEO対策のメリット・デメリットと対策方法を詳しく解説

SEOというのは“ Search Engine Optimization ”の略で、日本語では“検索エンジン最適化”と訳される。

“検索エンジン最適化”の意味をどのくらいの人が理解しているか定かではないが、会社でWebサイトの運営を担当しているとか、個人でHPで開設しているという人でない限り、“検索エンジンを最適化するとどうなるのか”、あるいは、“どうすれば検索エンジンを最適化できるのか”と聞かれても答えられないのではないだろうか。

多くの人(検索ユーザー)の目にふれるように、自社サイトなどのWebページをGoogleの上位に表示させ、流入を促す取り組み(施策)を“SEO対策”というのだが、当コンテンツでは、SEOのビギナー(=私)がSEOを学んでわかったこと、驚き、いかにして流入を増やすのかなど、SEO対策の奥深さをビギナーなりの視点で解説していく。

サイトの運営にあたり、「SEO対策って、どんなことをすればいいんだろう」とお考えの方は参考にしていただきたい。

※SEO対策を解説するのはSEOのエキスパートなのでご安心ください。

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    目次

    Chapter1:SEOとは?

    まずはSEOについて解説していく。

    まず知っておこう!検索エンジンという巨大なマーケットと日本の検索エンジン需要

    SEO(Search Engine Optimizatiin)というのは「検索エンジン最適化」の意味だが、「SEO対策」について語る前に、学んでおくべきことが2つある……、とSEOのエキスパートが言う。

    1つは「Webマーケティングとは何か?」で、もう1つが「検索エンジンとは何か?」だそうだ。

    “マーケティング”のWeb版をWebマーケティングと言うのだろうくらいは想像できるが、そもそも“マーケティングという概念そのものを知らないので、ここはYに教えてもらおう。Yというのは、株式会社eclore(エクロール)でコンサル業務を担当しているSEOのエキスパートだ。

    「何もしなくても、自社の商品やサービスが売れるようにするのが本来のマーケティングだと思います」

    ということは、オンライン上で商品やサービスを売っていくためのマーケティング活動がWebマーケティングになるのだろう。

    「そうなんです。その中の1つがSEOなんですよ。SEOというのはWebマーケティングの手法の1つに過ぎないんです」

    では、Webマーケティングというのは、具体的にはどういうものを言うのだろう。

    Webマーケティングとは?

    「多くの人の目に留まりやすいのが、リスティング(検索連動型)広告やYoutubeの広告などですね。あれがWebマーケティングの典型です。SEOもWebマーケティングの手法の1つですが、極端な話、リスティング広告やYoutubeの広告がうまく機能していれば、SEOをやる必要はないんです」

    でも──、とコンサルタントYは言葉の穂を継ぐ。

    「リスティング広告がうまくいっている+αで、別のチャネルからもユーザーのアクセスがほしい、いろんな媒体からもアクセスがほしいとなったときにSEOを始めるのが一般的です」

    コンサルタントYが言うには、企業がいま、どのフェーズにいるかによって対策は変わってくるそうだ。すぐに売り上げに直結するような即効性を求めるなら、SEO対策を講じるよりリスティング広告のほうが向いているらしい。急ぎお金を作っていく必要がある、1か月後には結果を出したいなど、スパンが短い場合だ。

    ただし、それには、広告費を少なからず使えることが前提になる。換言するなら、予算を使えば、リスティング広告なら短期間である程度の効果が見える──、のである。対してSEO対策を講じる場合、詳細は後述することになるが、じっくりと時間をかけて取り組む必要があるのだ。

    ここまでのおさらいをしておこう。

    マーケティングというのは、自社の商品やサービスが売れる流れや仕組みをつくることを言う。

    それをオンライン上でやるのがWebマーケティングだ。

    SEO対策もWebマーケティングの手法の1つだが、効果が見える(=自社商品やサービスが認知される、問い合わせが増える、売れ始める)ようになるまで時間がかかる。短期間で効果を出したいなら、それなりの予算は必要になるがリスティング広告のほうが有効。

    こんなところだ。

    もっとわかりやすく言えば、“マーケティング”という大きな親ガメがいて、背中に“Webマーケティング”という子ガメが乗っかっていて、さらにその背中に“SEO対策”という孫ガメが乗っかっていると思えばいいのだろう。

    おぼろげながら「Webマーケティングとは何か?」がわかったところで、次の「検索エンジンとは何か?」に移ろう。

    【関連記事】
    【Webマーケティングの究極ガイド】施策の例や最新情報も解説
    リスティング広告とは?仕組みや費用・配信方法について解説

    どうして検索「エンジン」なの?

    さて、素朴な疑問だ。自動車でもないのに、どうして「エンジン」なのだろう?

    エンジンと言うと、自動車のエンジンのような原動力、発動機、内燃機関を思い浮かべるのが一般的だが、ITの分野では、データや情報を処理するための機能を提供する“装置(ソフトウエアやシステムなど)”を言う。

    とどのつまり、知りたいことを検索したとき、それを手助けしてくれる装置だから“検索エンジン”なのである。

    参考までに、1834年にチャールズ・バベッジというイギリスの数学者が、コンピューターの元の元になるような計算機を発明しているのだが、これは蒸気で動かす設計だったらしい。計算機を完成させることなくチャールズは世を去ったが、もし完成していたら、この計算機で対数や三角関数の計算ができたとのことだ。チャールズが考案した計算機と同レベルの汎用コンピューターが完成するのは、さらに100年後の1940年代まで待たなければならない。

    それを考えると、チャールズはとんでもない発明をしていたことになるが、機械仕掛けの計算機をチャールズは“解析エンジン(analytical engine)”と名付けていた。だから、もしかしたら“エンジン”の語源はこのあたりにあるのかもしれない。

    参考:解析機関 – Wikipedia

    ということで、「Webマーケティングとは何か?」は学んだ。「検索エンジン」もだいたいのところはわかった。いよいよ「SEO対策」について学ぶときがきたようである。コンサルタントYが言う。

    Googleの全世界のシェアは91.88%!1日の検索ボリュームは85億回以上!

    Googleがどのくらいの規模で事業展開しているかというと、検索エンジン市場でのシェアは、2022年6月時点で全世界の91.88%を占めるとのことだ。処理能力はというと、1秒間に10万件以上の検索クエリを処理し、1日の検索ボリュームは85億回以上にも及ぶという(※1:いずれもStatCounter 社の調査による)。

    もちろん、検索エンジンはGoogleだけでなく、Yahoo!やマイクロソフト社のBing、中国のBaidu、ロシアのYandexなどがある。しかし、日本国内で英語や中国語、ロシア語で検索するユーザーは数が限られていることや、2010年にはYahoo!がGoogleと提携してGoogleの検索エンジンアルゴリズムを使うようになり、GoogleとYahoo!の検索結果はほとんど同じになることなどから、検索エンジンの国内需要はGoogleがほぼ独占していると考えていいのだそうだ。SEO対策がGoogleを対象にしているのもそのためだ。

    ※1:StatCounterによると、2022年6月時点で、Googleの世界検索エンジンシェアは91.88%。次いでBingが3.19%、Yandexが1.52%、Yahooが1.33%、Baiduが0.76%、DuckDuckGoが0.64%

    だから、誰もがGoogleのランキング上位を目指す。

    もし、自社商品を紹介するページがGoogleのいちばん上にあったら…?

    たとえばですが──、とYは続ける。

    「シューズでもいいし時計でもいいんですが、検索したとき、その商品を製造・販売している企業がGoogleの1ページ目の、いちばん上に載っていたら、ユーザーはその企業をどう思うと思いますか?」

    簡単だ。Googleの1位にあるのだから、この企業はしっかりしているのだろう、この企業の商品なら買っても安心できるだろう……、と思うはずだ。

    「そうです。10位にいる企業より、1位にいる企業は広く認知され、はるかに信頼されます。だから、ランキングを1つでも上げられるような施策をする、それがSEO対策です。自社サイトがGoogleの2ページ目に載っているとしたら、何としても1ページ目に表示されたいと思いますよね。早い話が、それを考えるのがSEO対策なんです」

    企業名なり自社商品やサービスがGoogleの1ページ目のいちばん上に表示(ランキング)されるのがベストだが、できるだけ上位を目指すのは、ユーザーの信頼度が違うからだ。Googleは、それほどに巨大なマーケットなのである。

    何よりも大切なこと、それはGoogleの理念を理解すること

    認知、集客、購買を目的に、企業はあの手この手でマーケティング活動に腐心するのだが、「売りたいがため」が前面に出すぎると、SEO対策はたいがい失敗する──、とコンサルタントYは言う。

    「Googleには“Googleが掲げる10の事実”というガイドラインがあります。 SEO対策に取り組む際、このガイドラインを無視するわけにはいきません……」

    1.  ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
    2.  1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
    3. 遅いより速いほうがいい。
    4.  ウェブ上の民主主義は機能する。
    5. 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
    6. 悪事を働かなくてもお金は稼げる。
    7. 世の中にはまだまだ情報があふれている。
    8. 情報のニーズはすべての国境を越える。
    9. スーツがなくても真剣に仕事はできる。
    10. 「すばらしい」では足りない。

    参考:Google 掲げる10の事実

    このガイドラインを読み解くと、ユーザーファーストこそがGoogleの理念だということがわかる。

    SEO対策をするうえで、絶対におろそかにしてはいけないこと

    ユーザーファーストというのは、ユーザーにとっての使いやすさ、利便性を第一に考えなければならないとした理念のことだ。そのうえでなおかつ、ユーザーに提供するサイトや情報は有益なものでなければならないとしている。

    「SEO対策に取り組むうえで、絶対におろそかにしてはならないのが、Googleの理念に沿うことです。ユーザーファーストですよね。“10の事実”では、検索エンジンのあるべき姿をGoogle自身が追求していると公言しています。SEO対策のコンサルティング業務にあたる私たちの立場からすれば、Googleの理念に賛同する、あるいはGoogleの理念を常に念頭に置いておけば、ユーザーに有益で、使い勝手のいい施策を施すことができる……、はずなんです」

    Googleランキング(検索順位)はこうして決まる

    Googleの検索エンジンは、オンライン上で公開されるサイトを分析し、ユーザーにとって有益で役に立つ情報から順位をつけて表示する。どのように順位づけしているかは、Googleが公開していないので詳細はわかっていない。

    クローリング(crawling) 情報の収集
    インデックス(index) 情報の蓄積・索引
    ランキング(ranking) 情報の順位付け

    クローリングとインデックス

    1つずつ説明していこう。

    クローリングというのは、ロボット(クローラー)を使い、オンライン上のサイトを見つけ出し、内容をチェックする作業を言う。クローラーが見つけ出し、チェックするサイトの数は天文学的に膨れ上がる。Googleのスターターガイドによれば、その数は数十億に及ぶとのことだ。自社サイトを開設したりリニューアルしたりしたときの最初の課題は、クローラーに“発見してもらう”ことなのである。GoogleにはGooglebotというクローラーがいるが、検索エンジンごとにクローラーがいる。

    クローリングで収集した情報は分類、整理されて、検索エンジンのデータベースに記録される。これをインデックスと言う。百科事典などで言うところの“索引”である。ユーザーが知りたいことを検索するとき、このインデックスが自社サイトの入り口になっていると考えていい。ユーザーを自社サイトに呼び込めるかどうかは、インデックスにかかっていると言っても誤りではないのだ。

    気をつけなければならないのは、サイト情報がインデックスされないと検索エンジンの評価対象にならないことだ。これが2つ目の課題だが、注意事項などの詳細は後述するので、ここでは“情報の順位付け(ランキング)”についての説明を急ぎたい。

    関連記事:クローラーとは?検索エンジンの仕組みやクローラビリティ対策を解説 

    ランキング

    “Googleが掲げる10の事実”の4番目で、Googleは“200以上の要素と、PageRank™ アルゴリズムをはじめとするさまざまな技術を使用して、各ウェブページの重要性を評価している”と記している。これだけでいかに細かい判断基準を設けているかがわかるが、ここでの分析で高評価を得たサイトが上位にランキングされる──、というのが検索エンジンの仕組みだ。

    その検索エンジンに高評価されるような施策を練るのがSEO対策なのである。

    Googleは、アルゴリズムのすべてを公開しているわけではない

    Webサイトの評価基準(アルゴリズム)についてはほんの一部しか公開していません。アルゴリズムは200以上あるとされていますが、詳しいことはほとんどわからないブラックボックスなんです。この、きわめて限られた情報から、私たちはGoogleがどのように判断し、ランキングを決めているかを読み解かなければなりません」

    Googleは「こうしなさい。そうすれば高評価を得て上位にランキングされます」というようなことは一言も言っていない。どうすれば検索エンジンが評価するかのヒントを出しているだけだ。

    ユーザーファーストを掲げているにもかかわらず、具体的な策や方法についての言及を避けている。ということは、もしかしたら、Googleは何がユーザーファーストになるのかをあなたたちなりに考えて実践してみなさいと言っているのかもしれない。そんなふうに思うのは私だけだろうか。

    たとえ目的がコンバージョンの達成でも、SEO対策を施すうえでは、まずはGoogleの理念を理解し、Googleが繰り返し主張しているように、ユーザーファーストの視点での取り組みが何よりも大切なのである。

    大切なことだからもう一度言うが、SEO対策とは、検索ユーザーと向き合う…、ということだ。

    関連記事:Googleのアルゴリズムとは?アップデートの歴史や最新情報を紹介

    押さえておくべきアルゴリズムとアップデート

    検索アルゴリズムのアップデートの中でも、大規模なものや大きな仕様変更が行われるものは、内容が公開されることがある。歴代のアップデートの中でも、重要度の高いものを表にまとめてみた。

    実施年

    名称

    内容

    2011年

    パンダアップデート

    コピーコンテンツやプログラムによって自動生成されたコンテンツなど、低品質なページのSEO評価を下げた。

    2012年

    ペンギンアップデート

    順位操作を目的とした、意図的な外部リンクが大量に貼り付けられたWebサイトのSEO評価を下げた。

    2013年

    ハミングバードアップデート

    検索エンジンが検索クエリをキーワード単位ではなく、文章として捉えて検索結果を表示するようになった。

    2014年

    ヴェニスアップデート

    検索結果にユーザーの位置情報を反映させた。

    2015年

    モバイルフレンドリーアップデート

    スマホユーザーの増加に伴い、モバイルデバイスでの操作性が高いWebサイトのSEO評価を上げた。

    2018年

    スピードアップデート

    極端に表示速度が遅いWebサイトのSEO評価を下げた。

    2019年

    BERTアップデート

    自然言語処理技術「BERT」を検索エンジンに搭載した。検索エンジンがテキストの文脈が読み取れるようになり、検索クエリをただの文字列ではなく、意味のある文章として捉えるようになった。より検索意図に沿ったコンテンツが検索結果に表示されるようになった。

    2021年

    ページエクスペリエンスアップデート

    「Core Web Vitals」をはじめとした、ユーザー体験に関する指標をSEO評価に取り入れた。

    2021年

    スパムアップデート

    検索アルゴリズムに含まれている、コンテンツスパムを検出するシステムを上方修正した。

    2022年

    ヘルプフルコンテンツアップデート

    低品質なコンテンツを多く含むWebサイトのSEO評価を下げ、高品質なコンテンツを多く含むWebサイトのSEO評価を上げた。

    いずれのアップデートも、検索エンジンをユーザーにとってより使いやすいものにするための内容となっている。

    とくに、ペンギンアップデートやパンダアップデートでは、それまでのSEO対策の概念を覆してしまうほどの大きな順位変動を起こした。度重なるアップデートの影響もあり、現在では検索エンジンファーストなSEO対策はほとんど通用しないと言っても過言ではないだろう。

    なお、それぞれのアップデートは何度か繰り返された後に、Googleのコアアルゴリズムの一部となっている。現代で再度パンダアップデートが行われることはないが、コアアップデートの際に一緒に更新されていると覚えておこう。

    上記以外にも、大小問わずさまざまなアップデートが日々行われている。すべてが発表される訳ではないが、SEO担当者は常にGoogleの動向にアンテナを張っておこう。

    関連記事:テクニカルSEOとは?対策方法とおすすめツールを徹底解説

    Chapter2:SEO対策のメリット

    ここからはSEO対策のメリットについて解説していく。

    ブランドやサービスを認知してもらい、さらに多くの人に知ってもらう

    SEO対策をした場合のメリットは、大きく3つに分けられる──、とコンサルタントYは言う。

    その1つが、自社ブランドやサービスの認知増だ。

    これまでにも説明してきたが、自社サイトがGoogleの上位に表示(ランキング)されれば、当然のように多くの人の目に触れることになる。そうなれば、おのずと自然検索からの流入が増える。こうしたプロセスを経て、自社ブランドやサービスが広く知れ渡っていく。SEO対策により、集客目的が達成されるというわけだ。

    さらに、いったん呼び込んだユーザーをランディングページに誘導して、問い合わせ、購入などのコンバージョンにつなげることも可能だ。

    広告費の削減

    SEO対策のメリットを知りたいのであれば、リスティング広告(検索連動型広告)と比較してみるといいかもしれない。

    リスティング広告というのは、Googleに出した自社の広告をユーザーがクリックするたびに、デポジットした金額から広告費が引かれる(=Googleに支払われる)広告手法のことだ。これを“クリック課金”と言うが、1クリックにつきいくらの広告費を支払うか、あらかじめ金額を決めておけるので、ユーザーが検索しやすいキーワードを設定しておけば、状況次第ではその日のうちにGoogle上位に掲載されるなどの即効性がある。

    クリック課金は1クリック1円から自由に設定できるが、相場は1クリック50~100円(月額の予算も30万円前後に設定するのが一般的)と言われている。人気のキーワードによっては1クリック数千円にもなることもあるので、リスティング広告を試みる場合は注意が必要だ。

    短期間のうちに自社商品の購買に結びつくなど、コンバージョンを重視優先するならリスティング広告はきわめて有効だが、クリック課金をやめた途端に検索画面上の広告枠に表示されなくなるので、リスティング広告はクリック課金を継続してこそ効果を発揮する。だから、続ければ続けただけ結果もついてくるが、そのぶん広告費の確保も必要になってくる。

    対してSEO対策はというと、リスティング広告のような即効性はないが、広告費用の削減という大きなメリットがある。自社のサイトやページ、コンテンツがGoogleの上位に掲載されれば、それだけで多くの人の目に留まり、ユーザーの自然流入も増える。サイトが上位にランキングされた状態が続くということは、広告を出し続けることにも等しいので、新たな広告費を必要としないからだ。

    ただし、気をつけなければならないのは、サイトが上位化されても、それが永続的に続くわけではない……、ということだ。上位表示されたサイトがそのままのランキングを維持できるとは限らないので、順位を落とさないように、コンテンツのメンテナンスやGoogleのアップデートへの対応など、地道な作業を続けなければ意味がないことも忘れてはならない。

    資産性

    資産とは財産であり、企業にすれば経済的な価値を意味する。

    「コンテンツは更新(上書き)もできるので、新情報を書き加えたり、状況によっては差し替えたりすれば、常に最新の情報を提供し続けられるという利点もあります。情報が古くならないように更新などのメンテナンスは欠かせまんが、費用対効果も抜群で、自社コンテンツがGoogleの上位にランキングされているあいだは新たな広告費を必要としません。コンテンツそのものが広告の役割を果たし、ユーザーを集客するからです。コンテンツはコンセプトやテーマごとに用意しますが、ストックが増えれば増えるほど、コンテンツの資産性は高まります。ですから、SEO対策を施すということは、SEOで資産性を作っていくと言い換えることもできるわけです。注目されるオウンドメディアは、お金をかけずに広告を出し続けられると思ってもらってもいいです」

    コンテンツはメルマガなどSEO以外のWebマーケティングに流用することもできる。それは、本項の冒頭でYが言った“何もしなくても自社の商品やサービスが売れるようにする”こと、そのものではないか。

    企業の多くは、いま、リスティング広告やオウンドメディアの開設に注力するようになっている。広告にかけられる費用は大手には敵わないが、しかし、SEO対策を講じ、オウンドメディアや自社コンテンツが上位にランキングされれば、中小企業でも十分、大手に対抗できる。SEO対策にはそうしたメリットや可能性も秘められている。

    しかし、メリットが大きければ、当然、デメリットもあり、リスクも起こり得る。その点を見落としてはならない。

    関連記事:コンテンツSEOとは?現役SEOコンサルタントが徹底解説

    Chapter3:SEO対策のデメリット

    ここからはSEO対策のデメリットについて解説していく。

    効果が出るまで時間がかかる。それどころか効果が出ないこともある

    SEO対策をするうえで、Yのみならず、多くのコンサルタントを悩ませるのが、“SEOは効果が出るまでに時間がかかる”ことだ。

    なぜ時間がかかるかというと、理由は大きく2つある。

    1つは検索エンジン(クローラー)が膨大な数のWebサイトをチェックしていること。もう1つが、クローラーのチェックが微に入り細に入り、とにかく入念だからだ。PageRank™ アルゴリズムをはじめ、200以上のチェック項目を用意してGoogleがウェブページをチェック・評価しているのは先述したとおりだ。だから、時間がかかる。

    この点についてはGoogle自身が、“成果が出るまで(メリットが得られるようになるまで)、通常は4か月~1年はかかる”と公言しているほどだ。新設した自社サイトが半年経ってもGoogleの上位に出てこないようなことはざらにあり、決して施策が失敗したというわけではない。

    「短期間で結果を出したいのであれば、SEOは向いていません」

    時間を要するのをデメリットと言うのであれば、状況次第では1年も待たされかねないSEOは“気長に待つ”というレベルではないのかもしれない。だが、Googleの上位にランキングされれば、そのぶん効果は大きく、前の章で説明した自社ブランドやサービスの認知増、広告費の削減、資産性につながっていく。では、どうしたらSEOの効果が出てきたと判断するのか──?

    「どこに目標(コンバージョン)を置いているかによりますね。サイトのセッション数やPVが増えればいい、ユーザー数は増えなくてもいいが、商品の問い合わせが増えればOKと考える人もいます」

    短期間のうちに効果を見込みたいのであればリスティング広告などを利用し、時間を要してもいいのであればSEOでの施策を試みるのが一般的だ。リスティング広告とSEOを併用する企業もある。

    しかし、SEO対策でも短期間で結果を出す打開策もないわけではない。リソースとコストをかけ、競合する他社を抜き去るくらいの勢いでコンテンツを作成する、サイトを修正するなどの施策を試みれば、自社サイトを上位にランキングさせることも不可能ではないという。だが、それにはやはり十分なリソースとコストが必要になる。

    「SEO対策は時間がかかるだけはなく、1,000万円の予算をつぎ込んでも収益ゼロというケースもないわけではありません。そのくらいのデメリット、リスクがあることを踏まえたうえで取り組む必要があります。また、成果が出るまでのあいだ、手をこまねいて待っているだけでは意味がありません。新設したコンテンツをクローラーがちゃんと見つけ出してくれるのか、正しくインデックスしてくれるのか、改善できそうなところには手を加えPDCAをまわしていく、さらには常にGoogleの最新情報を追うなどしておくといいですね」

    関連記事:SEOにはどんな効果があるの?期間や有効な施策も解説

    片手間でやったら失敗する

    SEO対策でやってはいけないこと──、Yの助言。

    「さんざん言ってきましたが、短期間で効果を求めることですね。やってはいけないと言うよりは、焦ってはいけません。次が、片手間でやろうとすることです。サイトで取り上げた情報は、時間が経てばどんどん古くなります。成果が出るまで、サイトをこまめにチェックして、常に新情報に書き換えるなど、コンテンツのメンテナンスをしっかりやる必要があります。片手間でやろうとするとその点がおろそかになりがちなので要注意です」

    本項の冒頭でふれたように、Googleの理念は“ユーザーファースト”である。SEO対策はGoogleの理念を理解するところから始まるのだが、Googleが開示している情報が限られているため、SEOの専門家はその限られた情報から多くを読み解き、あの手この手の施策を試みてGoogle検索のランキング上位を目指す。

    ということからもわかるように、そもそもからして、片手間でできるほどSEO対策は甘くはないし、簡単でもないのだ。

    関連記事:SEOで失敗する理由10選|よくある事例と上位表示のコツを解説

    Googleのアップデートで順位が変わる

    コンサルタントYのようなSEOの専門家を悩ませるのが、Googleのアップデートだ。

    ウェブサイトを評価するGoogleのアルゴリズムは200種類以上あるが、アルゴリズムの大きなアップデート(コアアップデート)は年に数回、アルゴリズムの調整は毎日のように行われているという。どのようなアップデートが施されたかはSEOの専門家にもわからず、ランキングの順位変動などを見て、「アルゴリズムがアップデートされたかも」と気づいたり判断したりするケースが大半らしい。

    「もちろん、SEOの専門会社は事前にGoogleのトレンドなどを把握し、ある程度実施されるだろうコアアップデートを予測して動いている。」

    Yが続ける、

    「アップデートの内容によっては状況が180度変わる可能性もないとは言えません。昨日までは問題ないと思われていたことが、今日になって評価されなくなることも起こり得るわけです。そうすると、当然、ランキングも変わります。だから、どんなに頑張っていてもアップデート次第では振り出しに戻ることもある。いままでやってきたことが無意味になるわけです。そういう意味では、Googleのアップデートはデメリットとも言えるのではないかと思います」

    もし、Googleのアップデートで、これまでのSEO対策が振り出しに戻ったら?

    そういうときは、アップデートされた内容を見て、対策を練り直すしかない──、とのことだ。そうなったらヘコむだろうが、落ち込んではいられないとYは付け加えた。

    【これまでのアップデートについて】
    パンダアップデートとは?概要やペンギンアップデートとの違いを解説
    ベニスアップデートとは?SEOへの影響や対処法を解説
    ヘルプフルコンテンツアップデートとは?影響や具体的な対策を解説
    BERTアップデートとは?SEOへの影響や変更内容の詳細を解説
    ペンギンアップデートとは?パンダアップデートとの違いやSEOへの影響を解説

    サイトの規模が大きくなるにつれて高度な知識とスキルが必要になる

    SEO対策は、サイトの規模が大きくなるにつれて難易度が上がる。

    競合があまりいない、ミニマムな対策だけで済むジャンルのWebサイトであれば、最低限の内部対策とコンテンツ制作だけでも成果はだせるかもしれない。

    しかし競合が強ければ強いほど、Webサイトのボリュームも大きくなり、些細な施策の積み重ねが必要だ。たとえば、コンテンツやカテゴリーが増えるほど、サイトの階層構造は複雑になる。

    デザインや導線設計に工夫をしなければ、ユーザビリティが低下し、ユーザーはストレスを感じてしまうだろう。加えて、サイトの規模が大きくなると、それだけサーバーの容量も圧迫する。

    サーバーに負荷がかかった状態は、ページの表示速度の低下を招くため、ユーザーエクスペリエンスを損ねてしまう。これらは間接的にSEOに悪影響を与えるため、定期的なデザインやサーバースペックの見直しが求められる。

    また、ページ内のコンテンツの重複にも気を配る必要がある。Googleのクロールには上限があるため、規模が大きすぎるとWebサイト内のすべてのページを回遊しきれない可能性があるからだ。

    解決するには重複コンテンツの削除や、カノニカルタグや301リダイレクトを使ってURLを正規化する作業が必須となる。

    上記のことから、大規模なWebサイトでSEO対策を行う際は、高度なスキルを持ったエンジニアの存在も必須と言えるだろう。

    誤った施策では全く効果が出ない

    Googleは、ウェブサイトの品質に関するガイドラインに反した場合のペナルティも設けている。

    どのようなウェブサイトがペナルティに該当するかというと、低品質コンテンツ重複コンテンツ、キーワードや不自然な被リンクを多用しすぎるコンテンツ──、等々だ。

    「たとえば、他社から乗り換えてきたクライアントの被リンクを見てみたら、怪しいサイトがいくつもあった……、というようなこともあるんです。被リンクが多いほどいいと聞いて被リンクをたくさん買ったんじゃないかと思うんですが、Googleは“不自然なリンクの獲得”行為をNGにしています。Googleが禁じているとは知らずにガイドラインに違反してしまい、無駄なお金と労力を使うこともあります。これは明らかな知識不足からくる失敗です。なかには、NGと知りながら被リンクを買うような悪徳業者もいないわけではないのですが」

    ガイドラインに違反すると、自社のサイトやコンテンツのランキングが大幅に下落、もしくは検索結果に表示されなくなるなどのペナルティが課せられる場合もある。ユーザーの目に触れにくくなるのは、企業にとっては大きな痛手だ。

    恣意的なガイドライン違反は論外だが、結局のところ、誤った施策では全く効果は出ない。それどころか、ペナルティまで課せられてはせっかくの施策も無駄になる。だから、次のような状態でSEO対策に取り組むのは厳禁だ。

    悪質な被リンクへの対策方法はこちら>>被リンクの削除とは?スパムの種類やおすすめの調査ツールも紹介

    関連記事:ブラックハットSEOとホワイトハットSEOの違い

    • リソースがない状態でSEO対策を始める
    • 知識がない状態でSEO対策を始める

    大事なことだから何度でも繰り返すが、Googleの理念に従い、ユーザーファーストという視点さえ失わなければSEO対策を誤ることはないのだ。

    Chapter4:E-E-A-TとYMYL

    ここからはE-E-A-TとYMYL について解説していく。

    E-A-TからE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の時代へ

    2022年(12月15日)、Googleは“検索品質評価ガイドライン(Search Quality Evaluator Guidelines)”を更新した。

    Googleには外部に1万人以上もの“検索品質評価者”がいて、年間38万件以上の評価テストを実施しているのだそうだ。検索品質評価ガイドラインというのは、品質チェックするウェブサイトの評価基準を示したマニュアルのことだ。※1

    それまでの評価基準は「E-A-T」の3項目だったが、これにもう1つ、新たな「E」が加えられ、「E-E-A-T」になった。E-E-A-Tというのは、次の4項目の頭文字を取ったものだ。

    「Experience(経験)」 コンテンツの内容が制作者の経験に裏打ちされているか(経験、体験量が豊富な人が書いたトピックのほうが信頼されやすく、評価も高くなる)
    「Expertise(専門性)」 専門性が満たされているか(多分野を扱うより特定分野に絞ったほうが専門性は高い)
    「Authoritativeness(権威性)」 特定分野において一定の地位がある、あるいは知名度やブランドが高い。無資格者より有資格者が書いたコンテンツのほうが高く評価される。
    「Trustworthiness(信頼性)」 コンテンツ作成者や該当サイトが社会的に証明されているなど、信頼性は高いか。
    誰が発信した情報か、またサイト運営会社の明記はとても重要

    経験(Experience)を加えた新しい品質評価ガイドライン

    「ウェブサイトの評価基準に“経験値”“経験則”があったほうがより明確になるという話は、前々からコンサルタントのあいだで交わされていました。だからE-A-Tに新たなE(経験)が加えられても特に大きな驚きはないんですが、Googleのガイドラインに“経験”を加えた理由を、『Google検索セントラル』は次のように説明しています」

    『検索結果の評価を改善するために、E-A-T に E(経験)を追加しました。つまり、実際に製品を使用している、実際にその場所を訪問している、実体験を伝えているなど、コンテンツにある程度の経験が織り込まれているかどうかも評価されます。状況によっては、そのトピックに関連して実体験をもつ人が作成したコンテンツが最も高く評価される場合もあります』

    引用:Google検索セントラル:品質評価ガイドラインの最新情報: E-A-T に Experience の E を追加

    「ウェブサイトの“何”が評価されてきたのかについては変遷があるんですね。いまは“コンテンツの時代”と言われていますが、2010年ごろは被リンクが評価の対象で重要視されていました。そのあともまだコンテンツではなく、内部対策などが評価の対象でした。当時はまだGoogleの精度もそれほど高くなかったからだと思います。それから少しずつコンテンツに目が向き始め、コンテンツの品質評価にE-A-Tが求められるようになったのはここ10年くらいのことではないかと思います。要は、コンテンツの質を高めるには何が必要かということなんですが、GoogleはそれをE-A-Tと定義したわけです」

    経験(Experience)が評価基準に加わった背景

    少し前に“アフィリエイト”がブームになったことがあった。広告収入を得ようとして多くの人がブログを書いたが、たとえば、医療に関するコンテンツを、まったくの素人がSEOの知識のみを頼りに書いて公開したら、医療機関や現役医師のサイトより上位にランキングされるというような“ねじれ現象”が起きるようなこともあった。Yに言わせれば、医師免許も持たない人のブログが専門の医師やクリニックのHPより上位に表示されるような現象は異様であり、異常でもあるとのことだ。私もそう思う。だが、実際にそういうことが起きていたのだ。

    そうした現象を是正するために、専門性、権威性、信頼性を評価の基準にしたE-A-Tがガイドラインに設けられ、新たな“E(経験)” が加えられてE-E-A-Tになった。E-E-A-Tというのは、わかりやすく言えば、“誤った情報・信ぴょう性に乏しい情報を発信するのではなく、信用に足る情報、ユーザーが求めているディテールがそろっていて、なおかつそれらがストレスフリーで提供できているか”ということだ。

    ただし──、とYが言う。

    「E-E-A-TはGoogleがウェブサイトやコンテンツの品質評価をするときの要素の1つに過ぎません。E-E-A-TにこだわってSEO対策をしても、他の内部対策がおざなりだったら意味がありません。E-E-A-Tは大事だけど、これだけやっていればいいというわけではないんです」

    Webサイトの評価基準がE-A-T からE-E-A-Tに変わった背景はGoogleにしかわからないが、SEOコンテンツが飽和状態にきていることも理由の1つではないか──、とYは推測する。

    「いまあちこちで話題の“AIコンテンツ”の影響もあるような気がします。AIが生成する記事にはまだまだ誤りが多いし、いまのところ遊び感覚で楽しんでいる人もいますが、いずれはAIがコンテンツのほとんどを生成する日がくるかもしれません。現に、AIの採用を公言している企業も出てきています」

    Googleも、近く検索ページのデザインを変更し、ページのトップにAIが生成したコンテンツが表示されるようになるという。

    これからのコンテンツは、経験者だからこそわかること、プロならではの視点で制作する

    「サイトの評価基準がE-E-A-Tになる以前のことですが、私自身を含め、SEOコンサルタントの多くが感じていたのは、SEOコンテンツは飽和状態にきているんじゃないかということでした。検索エンジンを使えば誰もが一定の情報を引き出せるようになり、その情報(コンテンツ)も、極端なことを言えば誰でも書けるので、一つひとつのコンテンツに魅力が感じられない、どれを読んでも同じに見える……、等々の状態になりました。それでは新しい知識もないし、読み物のとしての面白みもない。ならば、コンテンツに付加価値をつけようということで、E-A-Tに新たな“E(経験)”が加わったのではないかと思っています」

    具体的なことを言えば、その業界に長くいる経験者だからこそわかることや言えることもあるはずで、プロならではの視点で制作したコンテンツのほうが他のコンテンツとの差別化を図れるだけでなく、読み物としてのリアリティ、面白みも出てくるのではないか──、という期待が“E(経験)”には込められているのかもしれない。

    要は、ありきたりなものではなく、他のコンテンツが模倣できないようなWebサイト・コンテンツを作りなさい、ということだ。

    関連記事:E-E-A-Tとは?SEOで重視される理由と対策方法を解説

    YMYL(Your Money or Your Life)

    ユーザーファーストを経営理念に掲げるGoogleは、すべてのWebサイトの評価基準にE-E-A-Tを設けているが、そのなかでも“YMYL”に該当するサイトでは、特にE-E-A-Tの要素を重視して評価を定めている。

    YMYLというのは、“Your Money or Your Life”の略で、財産、金融、証券、医療・健康、法律、公的サービスなど、人々の生命(人生)や安全にかかわるコンテンツを提供しているサイトを言う。ガイドラインにも、YMYLを取り扱うWebサイトはことのほかE-E-A-Tに留意し、高品質・高度な専門性に基づいた情報を発信しなさい──、とあるように、YMYLはGoogleが設けた特別項目だと思ってもらってもいい。

    「勘違いしてはいけないのは、YMYLに関するジャンルのサイトだけがE-E-A-T を意識するのではなく、SEOをやるうえで、E-E-A-Tはすべてのサイトに必要な評価基準だということです。どんなサイトでも、経験、専門性、権威性、信頼性がないとGoogleは評価しませんよ、という意味です。だから、“うちのサイトはYMYLに該当するからE-E-A-Tをしっかりやらないといけないな”という考えでSEO対策に取り組んでいたとしたら、それはスタート時点から間違っていると思います」

    YMYLに関わるジャンルは、さらに審査・評価が厳しくなる

    引き続きコンサルタントYの説明。

    「たとえばある病気になった人が、病気の進行状況や治療法など知りたいと思い、専門の医療サイトを訪問したとします。そのサイトは医療・健康、生命にかかわるコンテンツを発信しているので、当然“YMYL”に該当し、誤った情報発信は絶対にNGです。これがエンタメとかアミューズメント情報のように、人々の生命や財産、安全にそれほど大きくかかわらないコンテンツならE-E-A-Tが多少弱くてもカバーできるし、ランキングを上げることもできるんですが、医療サイトになってくると、E-E-A-Tを高い水準で満たさないといけないので、ランキングを上げるのも容易ではありません。それだけ審査、評価が厳しくなるからです」

    Googleが定める検索品質評価ガイドラインによると、次に挙げる7ジャンルがYMYLに該当する。

    ・ニュース、時事問題⇒スポーツ、エンタメ、ライフスタイル等のトピックは除く
    ・公民、政府、法律⇒政府関係、公民権にかかわる情報のほか、法律には離婚や養子縁組の問題なども含まれる
    ・金融⇒投資、税金、保険、ローンなど、金融や経済にかかわる情報
    ・ショッピング⇒ECサイトなど、インターネット上で商品の購入、決済可能なWebサイト
    ・健康と安全⇒医療全般にかかわるトピック。製薬、病院情報、緊急時の準備・活動の危険性なども含まれる
    ・人種、宗教、国籍などに関するグループ⇒人種、宗教、国籍のほか、性別、民族的出身にかかわる情報、LGBTなども含まれる
    ・その他⇒フィットネス、栄養学、美容、住宅情報、大学の選択、職探しなど

    参考:https://static.googleusercontent.com/media/guidelines.raterhub.com/ja//searchqualityevaluatorguidelines.pdf

    YMYLは評価基準のハードルが高く、ランキングを上げるだけでも難しいのに、誤情報を発信した場合はもちろんのこと、信ぴょう性に乏しい情報、信頼性に欠ける情報を発信した場合も著しく評価を下げることになる。YMYLのSEOに取り組む際は、慎重に慎重を重ねるくらいの周到さと、高品質なコンテンツ制作を意識しなければならないのだ。

    関連記事:YMYLとは?具体的なジャンルとSEO対策のポイントを解説

    Chapter5:SEOの評価軸

    ここからはSEOの評価軸ついて解説していく。

    内部要因(テクニカル+コンテンツ)

    SEO対策は、1)テクニカルSEO、2)コンテンツ対策、3)外部対策(外部要因)の3つに分けられる。

    このうち、テクニカルSEOとコンテンツ対策の2つを合わせて“内部要因”と言い、Googleは“内部要因”と“外部要因”の両面からWebサイトをチェックし、ユーザーに有益な情報を提供しているかどうかを判断、評価する。

    コンサルタントYが言うには、内部要因は人間の身体にたとえるとわかりやすいのではないか──、とのことだ。

    「早い話が、筋トレと栄養の関係です。筋トレをして身体を鍛えるのがテクニカルSEO(=サイトの土台を作る)で、たんぱく質やプロテインなど、栄養を摂取して筋肉を作るのがコンテンツ対策(=コンテンツを強化する)です。ひたすら筋トレをして鍛えても、必要な栄養分を取り損ねたらマッチョな身体にはなれないように、アミノ酸やたんぱく質など、カロリー摂取にだけ気を使ってウェイトトレーニングをまったくしなければ、やっぱりマッチョな身体は作れません。テクニカルSEOとコンテンツ対策もそれと同じで、どちらが欠けてもGoogleに評価はされないんです」

    テクニカルSEOは、たとえばクローラーやインデックスの最適化、タグ対策、パンくずリストの設置など、Webサイト内の技術的な改善を指す。言うなれば、上腕二頭筋を鍛えたり、腹筋を鍛えたりする肉体改造のような施策だ。

    対してコンテンツ対策は、低品質コンテンツや重複コンテンツへの対応など、デトックスのように身体に有害なものは排出し、逆に栄養価が高く、身体にいいものだけを取り込んで、内面からきれいにしていこうという感覚に近い。

    【内部要因(テクニカルSEO)】

    • クローラー対策
    • タグ対策
    • 内部リンク
    • モバイル対策
    • 表示速度対策 など

    【内部要因(コンテンツ対策)】

    • 低品質コンテンツへの対応
    • 重複コンテンツへの対応
    • 関連コンテンツを豊富にする
    • 著者・監修者情報の設置
    • 検索意図を満たすコンテンツを作成する

    内部要因については、第6章(テクニカルSEO)および第7章(コンテンツ対策)で詳しく説明する。

    関連記事:テクニカルSEOとは?対策方法とおすすめツールを徹底解説

    外部要因

    外部要因(外部対策)というのは、ほかのサイトが自社サイトを紹介(推薦)しているか、あるいはその際、外部から評価されているかをGoogleが判断する指標のことだ。手っ取り早く言うなら、他のサイトが“このサイトはいいよ”と言って紹介してくれているかどうかだ。ほかのサイトからの評価が高ければ、おのずとGoogleも高評価をくだしやすくなる。優良コンテンツをみなされやすいのである。したがって、外部からの評価を高める施策もSEO対策には不可欠になり、その取り組みを外部対策と言う。

     Chapter6:内部要因(テクニカルSEO)

    ここからは内部要因(テクニカルSEO)について解説していく。

    クローラー対策

    Googleは“クローラー”というロボットを派遣してオンライン上のWebサイトをチェックし、検索エンジンのランキングを決める──、という説明は冒頭でした。だが、クローラーのチェック機能が万全万能かと言えば残念ながらそのようなことはなく、重要なポイントに気づかなかったり、認識できなかったりという見落としは起こり得る。

    原因の大半はWebサイトの構造に不備があるせいだが、そのようなことのないように、クローラーが正しく自社サイトをチェックして情報を収集し、インデックスしてくれるように準備しておくのも有効かつ大切なSEO対策の1つだ。言うなれば、クローラーの巡回を手助けする対策を練るわけだが、それには、クローラーの機能や働きを知っておいたほうがいいだろう。

    ここでは、クローラー対策として以下の6点を解説する。

    • レンダリング
    • URLの正規(統一)化
    • XMLサイトマップ
    • 構造化マークアップ
    • ファイルサイズ
    • クロール拒否

    レンダリング

    レンダリングとは、さまざまな情報、データを分析・処理してディスプレイに表示されるまでのプロセスを言う。そのときに用いられるのがJavaScript や CSSなどの言語だ。余談ながらPCが苦手な人(実は私もその1人なのだが)に説明しておくと、“言語”というのは“コンピューター言語(プログラミング言語)”のことで、コンピューターに指示を出すとき、コンピューターがわかるような“機械語”に“翻訳”してやる必要があるのだそうだ。だから“言語”という言葉が使われているらしい。

    クローラーを派遣したGoogleは、クローラーが収集したデータをもとに情報のインデックス化、ランキング化を図るが、クローラーには苦手な分野(技術)もあるので、Webサイト内の構造やページ内容をクローラーがレンダリングしやすい状態に準備しておくのが肝要なのだという。

    クローラーが得意にしている技術 HTML、CSS、PHP
    完全ではないものの、ほぼ読み取れる技術 JavaScript、AJAX(Asynchronous JavaScript + XML:エイジャックス/アジャックス)
    苦手にしている技術 動的コンテンツ

    ちょっとばかり実用的な話をすると、クローラーはJavaScriptが生成したコンテンツならほとんど認識できるが、完全ではない。

    少し前まで、Googleは静的ページなら正確に認識できたが、動的ページは認識できないことがあった。近年はクローラーの機能も向上し、動的ページの認識率も高まったが、コンテンツ制作にJavaScriptを使ったから高評価につながるということもなく、HTMLで作られたページと評価そのものは変わらないそうだ。

    AJAXもコンテンツ内容を動的に書き換えるツールなので、クローラーが動的ページを認識できるかどうかはJavaScriptと同じレベルだが、AJAXを用いてページング処理をする際はURL生成に注意が必要になる。何も手を加えないままだとURLはそのままでページの内容だけが変わることになり、「戻る」をクリックするたびに画面が初期化されてしまうので、AJAXで読み込むごとにHistoryAPI(履歴API)を使ってURLを書き換える必要があるとのことだ。クローラーにサイト情報を認識してもらうために、これらは不可欠な工数になる。

    自社サイトのページが動的なコンテンツを生成している場合は、コンテンツがブラウザに正しく表示されているかどうかを確認しつつ、レンダリングに不備がないかも同時に調べる癖をつけるといいらしい。

    【関連記事】
    レンダリングとは?SEOとの関係や影響を解説
    動的ページはSEOに不利?概要や静的ページとの違いを解説

     URLの正規化

    ページの重複が見られた場合、それぞれのページに最も評価してほしいURLを1つ指定すると、そのページに評価を集めることができる。しかし、URLを定めないとアクセス数や被リンクなどのSEO評価が分散するなど、まれに検索順位に悪影響を及ぼすことがある。URLの正規化はSEOを講じるうえでは必須と言ってもいい施策なので、忘れないようにしておきたい。

    URLの正規化は、以下2つの方法で行える。

    • 301リダイレクトを使用する
    • カノニカルタグを使用する

    どちらを使っても問題はないが、ユーザーに見せる必要がないページには301リダイレクトがおすすめだ。

    関連記事:URLの正規化とは?設定方法や注意点を解説

     XMLサイトマップ

    クローラーの効率を上げる手助けに“XMLサイトマップ”の作成は極めて有効とされている。

    「XMLサイトマップというのは、サイトの中にある情報をGoogleに伝えるマップのことで、わかりやすく言うなら自分たちで作るGoogle向けの地図です。地図には各ページのURLや重要度をXML形式(sitemap.xml)で記載しているので、それを見たGoogleが、「このサイトにはこういうページがあるのか」とわかるので、クローラーが巡回しやすくなります。インデックスを促進する意味でも重要なページ情報はマストで書かなければなりません」

    XMLサイトマップがGoogleに伝えられるのは、以下のような情報だ。

    • 更新日時
    • 更新頻度
    • ページの重要度

    インデックスを円滑に進めるうえでもXMLサイトマップの作成は望ましい。

    XMLサイトマップの作成には、2パターンのやり方がある。

    • ツールで作成する
    • WordPressで作成する

    ツールで作成する場合は、“sitemap xml editor”か“sitemap xml generator”のいずれかを使うのがいいとされているが、自社サイトのURLがあれば、どちらのツールを使ってもXMLサイトマップは自動で生成される。サイトの最終更新日や更新頻度などの情報を記載するか否か等のオプションも設定できる。

    WordPressを利用している場合は、プラグインを使えば簡単にXMLサイトマップを作成できる。利用頻度が高いツールは“Google XML Sitemaps”と“All in One SEO”だが、それぞれに特徴があり、Google XML Sitemapsは、XMLサイトマップをGoogleサーチコンソールに自動送信する機能を備えている。初回の送信のみ手動になるが、それ以降の情報送信はすべて自動で行われる。

    他方、All in One SEOの特徴は、XMLサイトマップの作成をはじめ、メタタグの最適化、SNSとの連携など、SEO対策をアシストする機能が豊富なことだ。

    なお、XMLサイトマップが正常に設置されたかどうかは、ブラウザに次のURLを入力して確認する。

    https://自社サイトのドメイン/sitemap.xml

    XMLサイトマップが正常に設置されていれば、サイトのページ情報が一覧できる。何らかの理由でXMLサイトマップに不備があると一覧ページが表示されなかったり、404エラーが表示されたりするが、そのような場合は再設定を試みるなどして設定状況を確認する。

    繰り返すが、XMLサイトマップは、クローラーがスムーズにサイト内を巡回できるように作成する自社サイトのページ一覧だ。XMLサイトマップを作成してGoogleに送信すればクローラビリティが向上し、SEO対策も効果的に進められるので、サイトの規模が大きくなるときは、必ずXMLサイトマップを送信しておこう。

    関連記事:XMLサイトマップとは?必要性やGoogleへの送信方法を紹介

    構造化マークアップ

    構造化マークアップは、検索エンジンにコンテンツの内容を正しく伝えるための「構造化データ」をWebサイトに実装することだ。

    たとえば、通常Googleのクローラーは「ランクエストSEO」をただの文字列としか認識しない。しかし、構造化マークアップを施せばサービス名やサイト名として伝えることが可能だ。

    検索エンジンにコンテンツの意図が伝わりやすくなるため、より正当な評価が期待できる。加えて、近年のSEOではE-E-A-TやYMYLが重要視されている傾向にある。著者や企業の情報を構造化マークアップし、信頼性や権威性を伝えることは今後さらに重要になっていくだろう。

    また、Googleがサポートしている構造化データを実装すれば、検索エンジンにリッチリザルトとして表示されることがある。クリック率の向上にもつながるため、必ず実装しておこう。

    ファイルサイズ

    Webサイトに使用する画像や動画などのファイルサイズが大きいと、レンダリングに悪影響を与える。

    ページの表示速度低下はもちろん、サーバーにも負荷がかかるため挙動が重くなる可能性があるからだ。画像の場合、ファイルサイズは最大でも300〜400KB程度に収めておこう。

    また、フォーマットはWebPがおすすめだ。小さいことに越したことはないが、無理に圧縮すると画質が荒くなってしまうため、調整しながらいい塩梅を見つけよう。

    動画は、どうしてもファイルサイズが大きくなってしまうため、外部から読み込もう。YouTubeなどの動画投稿サービスに動画をアップロードし、CSSやJavaScriptで読み込めば、自社サーバーに負担をかけずに表示できる。

    クロール拒否

    Webサイト内のページをもれなくインデックスしてもらうために、クロールの最適化は必須だ。

    そのため、会員専用ページや色違い商品などの重複ページなど、無駄なページをクロールさせないようにしよう。クロール拒否は、以下2つの方法で設定できる。

    • robots.txtファイルを作成する
    • 対象ページにnoindexを設定する

    robots.txtファイルは、検索エンジンにアクセスして良いURLを伝えるためのファイルだ。除外してほしいURLを記載すれば、クロールの対象から外すことができる。

    noindexは、HTMLのmetaタグ内に記述する属性の1つ。クロールしてほしくないページのheadタグ内に、以下のように記述すればクロールを拒否できる。

    <meta name=”robots” content=”noindex”/>

    ただし、クロール拒否の設定を誤るとインデックス登録に大きな被害をもたらす。必要なページまでクロール拒否しないように、設定は慎重に行おう。

    タグ対策

    ここからはタグ対策について解説していく。

    タイトル

    SEO効果を高めるうえでも、検索ユーザーとGoogleに該当ページの内容を伝えるタイトルの設定はかなり重要な要素の1つに数えられる。数年前まではタイトルに手を入れるだけでランキングに変動が見られたが、近年ではそれほどの効果はないにせよ、タイトルに効果的なキーワードが使われていれば順位の上昇は十分に見込めるという。ディスクリプションも検索ユーザーの興味を引くような文章が記載されていればクリック率も高まる。

    タイトルタグを設定するにあたり、注意すべき点は以下の5つだ。

    • 対策キーワードを含める
    • 対策キーワードは不自然にならない範囲で、タイトルの前半部で使う
    • 対策キーワードが複合になる場合、文字列を離さない
    • タイトルはトータル30字前後にまとめる(検索結果に全文表示されるようにするため)
    • コンテンツの概要を端的に伝えるだけでなく、クリックを促す魅力的な文章で作成する

    タイトルが長すぎたり、コンテンツに無関係なキーワードが使われているなど、タイトルとページ内容との関連性が低いと判断されたりすると、Googleサイドでタイトルに手を加えることがある。たとえば、タイトルの一部しか表示しない、あるいはGoogleが生成したタイトルが表示されるというようなこともあるのでタイトル設定には注意を払いたい。

    関連記事:SEO効果を高めるタイトルのつけ方とポイントを解説

    hタグ

    Googleはhタグがないと、、どれが見出しで、どれが本文なのかを理解できない。テキスト内のデータをコンピューターが読み取れるようにするには“タグ付け”というマークアップ言語(HTML / HyperText Markup Language)が必要になるのだが、見出しタグ(hタグ)もその1つになる。

    見出しというのは章の頭に設置する標題(その章を要約した一文)のことで、新聞や雑誌などでは見慣れているが、Webサイトにおける見出し(hタグ)は、従来の役割のほか、ユーザーとGoogleにサイト内の論理構造を正しく伝える役割も担っている。極端なことを言えば、タグがなければ、Googleはタイトルと本文の区別もつかないのだ。だから、タグ付けが必要になるとコンサルタントYが言う。

    「なぜタグを使うかというと、サイト構造(ページの中身)をGoogleが理解しやすいようにするためでもあるんです。これはコンテンツ制作のノウハウにも通じることですが、見出しなしの長文が続くより、要所要所で見出しがあったほうがユーザーも読みやすくなります。それと同じように、タグを使って文章を整え、タグごとの重要度をGoogleに伝えていきます」

    このとき、タグにもキーワードを盛り込むのがコツだという。

    「タイトルで使ったキーワードは基本的にhタグにも入れたほうがいいとされています。そうやってコンテンツの内容をGoogleにつかんでもらうわけですね」

    見出しタグはh1~h6まであり、h1、h2……、と段階的にレベル分けされる。

    「h1はページのテーマになるのでいちばん重要です。ただ、h1がいくつもあるとGoogleもどれが重要なのか混乱しかねないし、逆に1つだけにすれば確実に重要なページが伝わるので、h1は1つにしようというのが弊社の考えです。h2以降のタグは、多すぎるのはお勧めできませんが、何個までという決まりはありません。hタグは数字が若いほど、Googleは重要な見出しとして捉えていくので、できるだけ若い数字のhタグにキーワードを入れるようにするとGoogleのコンテンツ理解もより進みます」

    hタグの順番が正しくなくても、Google は評価を下がることはありません。ただし、ユーザビリティやアクセシビリティにとっては重要な要素になるため、正しいhタグ構造にしましょう。

    関連記事:SEOに強い!効果のある見出しの書き方のポイント12選

    ディスクリプション

    Googleの検索画面に自社サイトが表示(掲載)される際は、タイトルタグとこのディスクリプション(サイトの説明文)が表示されるが、ディスクリプションは評価基準には含まれていないため、ランキングへの影響はない。

    それどころか、ディスクリプションは書いても書かなくてもどちらでもいいらしい(ディスクリプションを書かない場合、Googleは本文やリード部からディスクリプションに相当する文言をセレクトして表示する)。しかし、ディスクリプションが検索ユーザーの興味を引き、読みたくなるような内容だった場合、CTR(Click Through Rate / クリック率)が高まることはある。これは見逃せないのだ。

    なぜかというと、クリック率が高まるということは、自社サイトへの流入数が増えることでもあるので、Googleも“多くの人が集まるサイト=いいサイト”として評価する可能性があるからだ。推測の域は出ないが、クリック率や流入数によって副次的、間接的な効果はあるかもしれない……、という考えもあるのは確かだ。したがって、ディスクリプションを書かなかったからといって評価がマイナスになることはないが、ディスクリプションを作成するのであれば、検索ユーザーの興味を引くような内容を意識したほうがいい。

    以下は、ディスクリプションを作成する際のコツと注意点だ。

    【ディスクリプションを作成する際のコツ】

    • キーワードを入れる(キーワードは太字で表示されるので、ユーザーが探している情報とマッチするか否かの判断材料になる)
    • 全文が表示されるように、文字数は100~110文字程度に収める
    • スマホの表示を意識して、50文字、70文字、100文字程度で文章を区切る
    • 検索ユーザーのクリックを促す文章を意識する

    【ディスクリプションを作成する際の注意点】

    • 本文と関係性が薄い文章は避ける
    • 意図的にキーワードを詰め込まない(詰め込み過ぎはマイナス評価になる可能性あり)
    • 複数ページ共通のディスクリプションにする
    • コンテンツ内の文章をそのままコピーして使わない

    関連記事:ディスクリプションとは?SEOに効果的な書き方と設定方法を解説

    内部リンク

    サイト内のページリンクを“内部リンク”と言う。クローラーがサイト内を巡回するときは、基本的に内部リンクをたどって移動するので、各ページがしっかりとつながっているかどうかで巡回のしやすさ(=評価)も変わってくる。

    大切なのはすべてのページをリンクでつなげることだが、とりわけ内部リンクを主要なページに集中するようにすると、Googleはそのページを“重要なページ”と認識して評価を高め、同時に関連性の高いページをリンクしておけばユーザビリティが向上し、これもサイトの評価につながっていくらしい。コンサルタントYが言う。

    「イメージで言うとクモの巣です。それぞれのページがまんべんなくつながっていれば、ユーザーも行きたいところに行きやすいし、クローラーの巡回もスムーズになります。内部リンクは“アンカーテキスト”や“パンくずリスト”などを使って作りますが、基本はサイト全体がクモの巣状になっていてページが全部つながり、かつ重要なページにはいろんなページからリンクが集まっているというのが理想的な内部リンクの構造です」

    内部リンクの設定はクローラー対策、ユーザビリティ向上の両面で重要度が高くなるが、より効果的な施策を講じのであれば、次の4点を欠かすことはできないとのことだ。

    • 内部リンク構造
    • サイト構造
    • アンカーテキスト
    • パンくず

    少し専門的な話をすると、Google のクローラーがたどれるのは“href属性”が指定された<a>タグでマークアップされているリンクのみになり、その他のリンクはたどれない。

    【クローラーがたどることができるリンク】

    <a href=”https://example.com”></a>
    <a href=”/relative/path/file”></a>
    <a href=”https://example.com”onclick=”location.href=’https://example.com/'”></a>

    【クローラーがたどることができないリンク】

    <a routerLink=”some/path”></a>
    <span href=”https://example.com”></span>
    <span onclick=”https://example.com”></span>
    <a onclick=”goto(‘https://example.com’)”></a>

    Google は JavaScript を実行してレンダリングした結果をインデックスしているが、JavaScript で動的にリンクを生成する場合、 href属性が指定された<a>タグでリンクを作らなければ、Google はリンクとして評価しないので注意を要する。

    関連記事:内部リンクのSEO効果とは?最適な設置方法も紹介

    内部リンク構造

    内部リンク構造は“SEOの土台”になる重要な施策と言われている。

    ユーザーがあるコンテンツ(ページ)を読み終えたとき、そのコンテンツにつながっている関連ページに素早く飛べれば、ユーザーが次に知りたがっているだろう情報をいち早く提供することができる。したがって、どの階層にも遷移しやすい導線設定を施せばユーザビリティに優れ、ユーザーの利便性も高まるが、遷移しやすいリンク導線はクローラーが重要なページを判断する決め手にも利用される。

    内部リンク構造の基本ルールは次の6つになる

    • どの階層(上階層、横階層、下階層)にも遷移しやすい導線設計にする
    • 重要な主要ページに多くのリンクが集まっている
    • 重要な主要ページはTOPページから直接リンクを受けるようにする
    • 関連するページどうしがリンクでつながっている
    • パンくずリスト・アンカーテキストが適切に設置されている(詳細は後述)
    • リンク切れがないようにする

    サイト構造

    しっかりしたサイト構造を構築できれば、メリットはドミノ倒しのように広がっていく。

    “しっかりしたサイト構造”というのは、まずはユーザーが使いやすいサイトになっていることだ。つまりは、ユーザーファーストである。

    ディレクトリをテーマごとに適切に細かく分けるようにすると、ユーザーが求める情報を瞬時に探しやすい使い勝手のいいサイトになり、同時に、さまざまな検索キーワードを用いたSEO対策がしやすくなる。つまりは、ページが増えるにつれ、キーワードの取りこぼしもなくなってくるというわけだ。

    また、先述したように、内部リンク構造がしっかりしている、サイト構造が整理されているなど、ユーザビリティに優れたサイトはクローラーも巡回しやすくなるため、サイトの高評価につなげやすい。Webサイトはサイト全体での関連性、テーマ性が重要なので、下層ページでキーワードが取れるようになってくると、サイト全体の評価、ランキングも上がりやすくなる。

    これがサイト構造の考え方だ。

    関連記事:SEOを意識したサイト構造とは?集客につなげるポイントを解説

    アンカーテキスト

    クローラーはリンクをたどってページからページへと移動するが、そのときにリンクになっているテキストを“アンカーテキスト(テキストリンク)”と言う。具体的には、HTMLタグの<a></a>で囲まれたリンク部分のテキストを指す。

    ただし、アンカーテキストに“ここをクリック”“くわしくはこちら”というような文言を入れても、ユーザーには意味がわかるが、Googleにはわからない。Googleはアンカーテキストの文字列をリンク先の内容を把握するための手がかかりにしているので、アンカーテキストには一般的な文字列よりもキーワードを含めるのが有効とされている。キーワードを入れておくと、リンク先のページの概要をGoogleへ伝えることができるからだ。

    アンカーテキストを設置する際の注意点は以下のとおり。

    • キーワードを詰め込みすぎない
    • テキストは短いフレーズにする
    • 通常のテキストとアンカーテキストは見た目だけで判断できるようにする
    • “くわしくはこちら”“ここをクリック”などの文字列は使わない

    画像をリンクとして使用する場合は“altテキスト” がアンカーテキストとして扱われる。画像をリン クとして使用する場合は必ず “alt テキスト” を設定する。

    関連記事:アンカーテキストとは?正しい作り方と注意点を解説

    パンくずリスト

    パンくずリストとは、ユーザーがサイト内のどの位置(階層)にいるのかをわかりやすくするため、ページを階層順にリストアップしてリンクを設置したリストを言う。また、パンくずリストもアンカーテキストの1つなので、内部リンクをつなぐ目的で使われる。

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    このように、階層を視覚的に伝えると、ユーザーの現在地がわかるだけでなく、このWebサイトは内部リンクがしっかりつながっているという証明にもなる。

    また、パンくずリストにも自然なかたちでキーワードを入れると、Googleにページの概要を伝えることができる。

    階層を伝えるのが目的なので、パンくずリストの記述には<ol>タグ(順序のあるリスト)の使用が適している。<ul><div><p>は推奨しない。

    【推奨しない記述】

    <ul >

     

    <li><a href=”#“>HOME</a></li>

    </ul>

    <div>

     

    <a href=”#“>HOME</a>

    </div>

    <ol>

     

    <li><a href=”#“>HOME</a></li>

    <li><a href=”#“>AAA</a></li>

    <li><a href=”#“>BBB</a></li>

    <li>CCC</li>

    </ol>

    関連記事:パンくずリストとは?SEO対策での役割や設置のポイントをご紹介!

    モバイル対策

    現在ではPCよりモバイルを利用するユーザーのほうが多いことから、モバイルでもPCと同じ体験ができるように、Webサイトのモバイル対策は重要度がかなり高くなっていると言っていい。

    レスポンシブウェブデザイン 同じURLと同じHTMLで配信する
    ダイナミック・サービング(動的な配信) 同じURLを使用するが、デバイスごとに異なるHTMLを生成する
    セパレートURL(別々のURL) デバイスごとに別々のURLと別々のHTMLを生成する

    モバイルサイトのパターンは上記の3種類に分けられる。Googleはこれらのいずれをもサポートしてはいるが、同じURLと同じHTMLで配信する“レスポンシブウェブデザイン”を推奨している。ユーザーのページシェアのしやすさ、読み込み時間の短縮化、モバイル切り替え時に起こりやすいミスを防げる、他の2パターンではたびたび見られる画像・動画の省略がない──、等々がレスポンシブウェブデザインを推奨する理由だ。コンサルタントYが言う。

    「正しい対応さえしていればどのパターンを選んでもランキングに影響はありませんが、Googleが推奨しているのだから、やはりレスポンシブウェブデザインを使ったモバイル対策を私もお勧めします」

    関連記事:モバイルファーストインデックスとは?SEO対策における影響や確認方法を解説

    表示速度

    2018年7月、Googleはアルゴリズム(評価基準)に“Speed Update”を加えた。

    これは、PCもしくはモバイル両方の表示速度が遅いサイトの評価を下げるアルゴリズムで、表示速度が遅くなればなるほど評価も下がると言われている。ユーザーファーストを考慮したうえでのアルゴリズムだが、表示速度を早くしても評価は変わらない。

    自社サイトがSpeed Updateの影響を受けているかどうかを調べる方法はないが、Google が提供しているページ表示速度ツール「PageSpeed Insights」でGoogleからの評価を知ることはできる。ただし、スコアが高かったから評価が上がる、スコアが低かったら評価が下がるというわけではないので、その点はあらかじめ理解しておこう。

    PageSpeed Insightsは速度改善の効果を判断するツールに過ぎないが、ユーザビリティに直結する判断ツールだから、PageSpeed Insightsに頼るのは決して誤りではない。

    サイトの表示速度を高めたい場合、例えば2010年にGoogleが開発したWedP(ウェッピー)という画像拡張子を使うのがいいだろう。

    • JPEG・PNG・GIFの特徴を併せ持つ
    • 画質を維持したまま圧縮できる
    • 透過処理・アニメーションに対応している

    WebPには上記のような特徴があるが、上位表示化に関係なく表示速度を速めるのは、あくまでユーザーファーストを実践するためだ。表示速度が遅くてユーザーをいらつかせたり、不快な思いをさせたりするような事態は避けたいところだ。

    Chapter7:コンテンツ対策

    自社サイトがGoogleのランキングの上位に表示されるには、ページ(もしくはコンテンツ)が高評価されなければならない。では、“どのようなコンテンツが高評価を得やすいのか”だが、検索品質評価ガイドラインを紐解くと、評価基準は次の3項目に象徴される。

    • ユーザーの検索意図を満たす情報を提供しているか
    • 高品質(E-E-A-T対策済み)でなおかつ信頼できる情報を提供しているか
    • 情報の見つけやすさ、操作性、表示速度など使いやすい仕様になっているか

    これらの要素を満たしたページは“高品質コンテンツ”になるが、逆に要素を満たしていないと“低品質コンテンツ”とみなされる。以降では、品質が低い、いまひとつとみなされたコンテンツの評価を高めるための施策を紹介する。

    低品質コンテンツとは

    コンテンツがGoogleに“低品質”とみなされると、Webサイト全体の評価が下がり、ケースによってはインデックスもされなくなるから要注意だ。何をもって“低品質”と言うかをコンサルタントYが解説する。

    「低品質コンテンツというのは、極端な例を挙げれば他サイトの丸パクリがバレバレだったり、画像しか貼ってなくて何をやりたいのがわからなかったりするようなコンテンツです。ユーザーに有益な情報を提供していないコンテンツはGoogleの“ユーザーファースト”の理念に反するので、それだけで低品質とみなされるし、評価が低いとわかっていながら善後策を取らずにコンテンツを放置したままにしていると、ペナルティでGoogleページに表示されなくなることもあります」

    【低品質コンテンツと判断される可能性が高いページ例】

    1. オリジナリティがなくユーザーに付加価値を与えないページ。
    2. 他サイトからのコピーでつくられたコンテンツが多いページ。
    3.  上位表示しているページと比較して、はっきりした価値を持っていないページ。
    4.  短い記事(1,000文字未満はアラート)、内容が薄い、メインコンテンツの量が十分でないページ。
    5.  ヘッダー・フッター・サイドバーなどのテンプレート部分よりもメインコンテンツの量が少ないページ。
    6.  編集されていない雑に作られたページ。
    7. メインコンテンツと関係性が薄い補助コンテンツが多いページ。
    8. 有益な補助コンテンツが存在しないページ。
    9. メンテナンスや更新がほとんどないページ。
    10. 誤字脱字、綴りや文法の間違いが多い、平易に書かれていないページ。
    11. 運営者・サイトポリシー・著者情報などの情報がないサイト。

    検索品質評価ガイドライン」から抜粋

    Googleはパンダアップデートと呼ばれるアップデートを導入して以降、低品質とみなしたページのランキングを下げるようになった。しかし、恣意的ではなくても、サイト全体のなかに1つくらい低品質コンテンツがあるのはGoogleも織り込み済みだからそれほど深刻に受け止める必要はないとのことだが、低品質コンテンツがあった場合は放置したままにせず、早急かつ適切な処理が望ましい──、とYも言っている。

    具体的には、次のようなコンテンツは低品質とみなされる。

    • 独自性のないアフィリエイトページ
    • コピーコンテンツ
    • 自動生成されたページ
    • セキュリティ対策がなされていないページ
    • 誘導ページ

    参考:ウェブ検索のスパムに関するポリシー(検索セントラル)

    低品質コンテンツを改善するには、まずは内容の加筆修正(リライト)が基本路線だが、改善が必要なコンテンツが多すぎるなどの理由ですぐに着手できない場合は、“noindexタグの設置”で応急処置を図ることもできる。コンテンツに手を入れて修正したらnoindexタグを外し、Googleに再びインデックスしてもらうようにする。

    Googleの評価を待つまでもなく低品質とみなされても仕方ないと思えるようなコンテンツや、手を入れたところでユーザーの利益、役に立ちそうにないコンテンツは、いっそのこと“削除”するという対応もある。

    関連記事:低品質コンテンツとは?SEOへの影響や対処法を解説

    重複コンテンツへの対応

    サイト内に重複コンテンツがあるとサイトの評価が下がることがある。その際、重複コンテンツと判定する条件として、Googleは以下を定義している。

    • 他のサイトのコンテンツをコピーし、元のソースを引用することさえせず、独自のコンテンツや価値を加えずに転載しているサイト。
    • 他のサイトのコンテンツをコピーし、語句を類義語に置き換えたり自動化された手法を使用したりして若干の修正を加えたうえで転載しているサイト。
    • ユーザーに対して何らかのかたちで独自のメリットを提供することなく、他のサイトからのコンテンツフィードをそのまま掲載しているサイト。
    • ユーザーに実質的な付加価値を提供することなく、他のサイトの動画、画像、その他のメディアなどのコンテンツを埋め込んだり編集したりしているだけのサイト。

    参考:Googleウェブ検索のスパムに関するポリシー(Google検索セントラル)

    コンサルタントYが言う。

    「重複コンテンツというのは、同じような内容のページがサイト内にある(=重複している)ことを言います。これは自社サイト内で起こることもあるし、外部サイトのページと被ってしまうなど、両方のケースで起こり得ます」

    重複コンテンツは、“外部サイトとの重複コンテンツ”と“自社サイト内での重複コンテンツ”の2つに分けられるが、コンテンツを制作する時点で重複コンテンツを発生させないように気をつけたほうがいい。また、自社サイト内に重複コンテンツがあると、次の3つの問題が生じかけないので注意が必要とのことだ。

    • 重複しているせいで検索結果に表示されない
    • 被リンク評価が分散する
    • サイトそのものの評価が下がる

    「SEOコンテンツは資産性に通じるという話をしました。SEO対策の一環として、できるだけ多くのコンテンツを制作する方針を打ち出している企業は少なくありません。その考えは誤りではありませんが、中長期にわたってコンテンツを作り続けると、コンテンツのクオリティが下がってしまう可能性は否定できません。結果として同じような内容のページができあがってしまい、重複コンテンツになるというケースもありがちです。では、どうすれうば重複コンテンツを避けられるかというと、繰り返しにはなりますが、まずは“ユーザーファースト”です。そして、一つひとつのコンテンツを丁寧に作っていくことい尽きると思います」

    重複コンテンツを避けるには、次のような対策を講じるのが望ましいとされている。

    • URLの正規(統一)化を図る(必須)⇒アクセス数や被リンク評価が分散するのを避けるため。
    • コンテンツを一次情報で構成する⇒本人の経験をベースに発信した情報はそれだけで重複、類似性を避けられる。
    • 引用(ブロックフォート)タグを使う⇒使用している画像やテキストが他サイトからの引用・参照だということをタグで囲っておけば重複コンテンツと認識されない。
    • 定型文の使用を避ける⇒テンプレ化した文章の多用はページが増えるにつれ重複率も上がるので、できるだけ使わないようにする。
    • 重複コンテンツがある場合、事前にnoidexを設定しておく。

    関連記事:重複コンテンツはSEO対策では避けるべき!影響や必要な対策を解説

    関連コンテンツ

    検索ユーザーを満足させるコンテンツ(記事)の制作はきわめて大事だが、ユーザーを満足させつつ、コンテンツの上位化を図るのであれば、“コンテンツを補完するコンテンツ”を用意する必要がある。ありとあらゆる情報を詰め込んで分厚いコンテンツにするより、そのコンテンツでは伝えきれないことを新たに用意するコンテンツに分け、リンクでつないで情報に広がりを持たせるためだ。この、コンテンツを補完するコンテンツを“関連コンテンツ”と言う。コンサルタントYが解説する。

    トピッククラスターという考え方なんですが、コンテンツを補完するコンテンツを用意してサイト内のコンテンツを内部リンクでつなぎ、コンテンツをグループ化します。内部リンクでつないだコンテンツは、そのうちの1つが評価されると他のコンテンツの評価も高まるのが特徴です。こうやってSEO効果を高める戦略をトピッククラスターと言います。それに、トピッククラスターは情報の網羅性にもつながります」

    情報の網羅性とは、必要な情報を漏れなく伝えられているかの指標だと思えばいい。記事(コンテンツ)を読んだユーザーが次に知りたくなるだろうことを予測し、関連コンテンツを用意しておけば情報の網羅性につながるだけでなく、ユーザーファーストの理念にも則った施策になる。

    このとき、メインになるコンテンツを“ピラーページ”と言い、ピラーページを補完するコンテンツを“クラスターページ”と言う。

    たとえば、ピラーページの検索キーワードを“SEO”にしたとする。その場合、クラスターページの検索キーワードは次のように設定して内部リンクを増やしていく。

    •  「SEO 費用」
    •  「SEO 効果」
    •  「SEO 初心者」 など

    このようにキーワードを増やしながら関連コンテンツを増やしていくと情報の網羅性が向上し、トピッククラスター全体の評価も高まる。また、トピッククラスターを活用すると、クローラーもサイト内を巡回しやすくなるなどのメリットもある。

    関連記事:トピッククラスターとは?メリットやSEO効果・作り方を解説

    著者・監修者情報

    2022年にGoogleは“検索品質評価ガイドライン”を更新し、従来の評価基準(E-A-T)に新たな項目“E(経験/Experrience)”を加えてE-E-A-Tにした。E-E-A-Tはそれぞれ“経験・専門性・権威性・信頼性”の略である(⇒詳細はChapter4: E-E-A-TとYMYL)。

    コンテンツの評価を高めるにはこの4つの要素(E-E-A-T)が不可欠であり、特にYMYLの領域ではE-E-A-Tが重要視されることもあり、専門家の執筆・監修も欠かせない要素になる。

    執筆・監修を依頼する専門家、有識者が専門的な知識や資格を所有しているかは重要なファクターになるが、その他にも、一定の知名度を獲得しているか(指名検索の可能性はあるか)、著書や教材の出版、専門家として取材を受けたことがあるなどの実績があると、コンテンツの評価、信頼性はより高まる。

    また、コンテンツの執筆・監修方法は、次の2パターンに分けられる。

    • 専門家にコンテンツの“執筆”と“監修”の両方を依頼する
    • コンテンツを作成してから専門家に内容のチェック、監修を依頼する

    関連記事:記事監修とは?メリットや依頼方法、監修者選びのポイントを解説

    検索意図を満たす+αの内容のコンテンツ

    Googleがコンテンツを評価する際は、次の3つを基準にしている。

    Needs Met ユーザーの検索意図を満たす情報を提供しているか(需要との一致)
    Page Quality 品質の高さと信頼性はあるか(E-E-A-TとYMYLの概念を含む)
    Usability 見やすさ、操作性、表示速度など、使いやすい仕様になっているか

    評価基準のなかで、もっとも重要視されているのが“需要との一致(ユーザーの検索意図を満たす)”になる。だが、従来の評価基準(E-A-T)に“経験”が加わってE-E-A-Tになったように、ユーザーの検索意図を満たす情報にも“+α(プラスアルファ)”が求められるようになった。“+α”が必要な理由をコンサルタントYが解説する。

    「何らかのお悩みを抱えているユーザーがいて、自社サイトを訪問してくれたら、まずはお悩みを解決できるコンテンツ、情報の提供がマストです。つまり、ユーザーの検索意図(お悩み)を解決したら、次に出てきそうなお悩みまで予測して網羅的に書いていくのが“検索意図を満たす+α”のコンテンツとされています。記事の補完、網羅性という意味では“関連コンテンツ”と重なりますが、関連コンテンツはピラーコンテンツを軸に内部リンクでクラスターコンテンツとつなぐ施策ですが、検索意図を満たす+αは1つのコンテンツの内容をいかに充実させるかという意味になります」

    検索意図を満たす+αが提供する情報は、自社のサイトでしか書けないこと──、たとえば経験に基づいた解決法やノウハウ、他社のサイトには載っていない一次情報的にするのが望ましいとのことだ。要は付加価値的な情報をいかに盛り込んでいけるかということだが、情報を広げすぎると意図がずれる可能性があるので注意が必要だ。

    【関連記事】
    検索意図とは?SEO対策で知っておきたい分類や重要性を解説
    検索クエリとは?キーワードとの違いや分析と活用方法を徹底解説

     Chapter8:外部要因

    ここからは外部要因について解説していく。

    被リンクとサイテーション

    外部対策とは、外部からの評価を高める施策を言う。代表的な施策には次の2つの方法がある。

    • 被リンク:外部に自社サイトのリンクが貼られる
    • サイテーション:ネット上に企業名やサイトが掲載される(リンクが貼られていなくてもよい)

    外部対策が重要なのは、他社からも評価されるサイトが理想的だからだとコンサルタントYが言う。

    「自社のサイトが他社から評価されているかどうかも大事なファクターの1つで、被リンクが多いと、多くの人におすすめされたという認識になります。Googleも“多くの人がすすめているサイトだからいいサイトなのだろう”と判断し、高評価をくだします」

    これは高名な学術論文が多くの研究論文で引用されているのにGoogleが倣い、被リンクを多く集めているWebサイトは高品質とみなすようになったと言われている。だが、Googleガイドラインを逸脱した外部対策は無視され、効果は期待できないうえにペナルティを受ける可能性がある。

    「被リンクには“ナチュラルリンク”と呼ばれる“外部サイトから自然に貼られたリンク”と、“スパムリンク”と呼ばれる“低質な被リンク”がありますが、Googleはどこから被リンクを貼られているかを調べられるので、自社のWebサイトとは全く関係のないサイトや、優良とは言えないサイトから被リンクが貼られていればすぐにわかります。そうなれば当然、評価は下がります。むかしは被リンクを売り買いするようなこともあったそうですが、いまはNGなので、自然にリンクを貼ってもらえるようなWebサイトを作り、コンテンツを作成するのがベストです」

    外部対策を講じるにあたって、気をつけなければならないこと、やってはならないことは次の3つだ。

    • 不自然な被リンク(不正な手段で獲得した被リンク)
    • 低品質なサイトからの被リンク
    • 人工リンク

    Webサイトを評価する際、いまでこそGoogleはコンテンツの品質を重要視しているが、2010年ごろまでは被リンクが重視されていた。評価対象はその後、内部対策に重きを置くようになり、コンテンツに目が向けられるようになったのはここ10年くらいの動きだという。量より質の時代になってきたと言うことはできるが、評価基準の主対象が被リンクからコンテンツに移ったからとはいえ、外部対策の重要度が低くなったわけではない。良質な被リンクの獲得など、外部対策は自力で調整するのが難しいぶん、質の高いコンテンツを作成し、外部の評価を高めるよういしなければならない。

    【関連記事】
    SEO外部対策とは?効果的な獲得方法や注意点を解説
    SEOにおける被リンクとは?獲得する5つのポイントを解説
    サイテーションとは?概要や獲得方法・SEO効果について解説!

     Chapter9:SEO対策を行ううえでのおすすめツール

    WebサイトのSEO効果をより高めるには、施策がどのくらいの効果をもたらしているかを把握しておく必要がある。つまりは、新たな施策や改善策を施すための途中経過を知っておいたほうがいいのだ。たとえば、クローラーがどのくらいの頻度で巡回しているか、PVや被リンク数、ユーザーのセッション数(1回あたりの平均閲覧ページ数)、直帰率(全訪問者の中で1ページしか見ない人も割合)、サイト滞在時間、離脱率──、等々である。

    そのようなSEO効果を測定する代表的なアクセス解析ツールが、以下の3つだ。

    • Googleアナリティクス4(GA4)
    • Googleサーチコンソール
    • エイチレフス

    ここからがSEO対策を行うにあたって活用すべき便利なツールを解説する。

    Googleアナリティクス4(GA4)

    Googleアナリティクス4は、Googleが無料提供している解説ツールだ(Google社はGA以前に“ユニバーサルアナリティクス(UA)”という解析ツールをリリースしていたが2023年7月にサポートを終了)。
    GA4の導入方法はこちら>>GA4の導入方法とは?設定の手順や必要な準備を解説

    GA4を使うと、主に次のような項目の分析が可能になる。

    • Webサイトの訪問者数
    • 一人当たりのサイト訪問数
    • どのページが何度開かれているか
    • ユーザーがアクセスしたときのデバイス
    • Webサイト訪問後のユーザーの動き(ページ滞在時間、直帰率、離脱率など)
    • 集客経路(ユーザーがどこから訪れたのか)

    関連記事:Googleアナリティクスとは?設定方法や導入手順・使い方を解説

    Googleサーチコンソール

    Googleサーチコンソールを使うと、自社のWebサイトをクローラーがどのように認識しているか、現状でのインデックス状況、被リンク総数、被リンクドメイン数、アンカーテキスト、ユーザ―がどのようなキーワードを検索しサイトへ訪れたかなどの分析が可能になる。

    SEO対策の効果を図るうえでもGoogleアナリティクス4とGoogleサーチコンソールは併用が望ましいが、いずれも自社サイトの解析しかできないので、競合サイトの解析をする場合は、次項で紹介する“エイチレフス”を使うといいだろう。

    関連記事:Googleサーチコンソールとは?使い方・導入抱負を解説

    エイチレフス

    SEO外部対策の効果測定・分析ツール“Ahrefs(エイチレフス)”は、世界で60万人が導入しているという。

    エイチレフスの優れた点は被リンクの調査・分析に長け、Ahrefs社が所有するURLデータは4020憶ページに及び、被リンクデータ量に至っては26.9兆以上を数えるとのことだ(※1:2022年6月現在)。先述したように、Googleアナリティクス4、Googleサーチコンソールは自社サイトの調査、分析しかできないが、エイチレフスは競合サイトの分析ができるという点でも活用の価値はある。たとえば、次のような情報解析だ。

    • 競合サイトのドメインパワーをベンチマークに設定する
    • 流入が多いキーワードを調査して対抗コンテンツを作る
    • 競合サイトがどのようなキーワードでSEO対策をしているのか把握する
    • 競合サイトの被リンクを分析し、獲得しやすいコンテンツの傾向を把握する
    • 被リンクの参照元を確認する

    その他にも、様々な機能を実装し、他社サイトのSEO調査・分析が可能だ。

    Site-explorer(サイトエクスプローラー) 被リンク数やアンカーテキスト、検索順位の変動などを調べるツールで、エイチレフスのメインツール的な役割を担っている
    Contents-explorer(コンテンツエクスプローラー) 調べたいキーワードに関連するコンテンツがSNSでどのくらいシェアされているか調べられる
    Keyword-explorer(キーワードエクスプローラー) キーワードの検索ボリュームを調べられるので、調査データを基に対策キーワードの選定に応用できる
    競合ドメイン比較 競合サイトの被リンクに関するデータを5社まで同時に表示、比較できる
    Rank Tracker(ランクトラッカー) 登録したキーワードの検索順位を調べられる(1日1回)

    エイチレフスは競合サイトの被リンクデータを取得できるのが特徴だが、被リンクを多く集めているコンテンツの共通点は何かなど、競合サイトに倣い、自社サイトの改善を図るのも有効な施策の1つだ。

    関連記事:エイチレフス(Ahrefs)とは?できることや料金について解説

    今後のSEO動向予想

    Googleは2023年5月にAIを活用した新機能を発表しました。
    ”SGE(Search Generative Experience)”と名付けられ、Googleの検索結果最上部にAIが作成した回答が表示されるようになります。
    ChatGptをイメージすると良いでしょう。”SEOとは?”と検索するとGoogleが「SEOの基礎知識」を教えてくれるようになります。
    この発表をきっかけに「SEOは衰退していく」や「サイト流入が減る」などと心配する声が上がっています。

    では、SGEが普及するとどうなるでしょうか?
    AIが生成した回答からでも得られるような一般知識しか掲載していないコンテンツは、価値の低いコンテンツになる可能性が考えれます。
    だからこそ、その分野の専門家だからこそ書ける経験則やノウハウといった有益な情報も盛り込んだ、価値のあるコンテンツを作成していく必要があります。

    今現在も、従来の”E-A-T”から筆者の体験が加わった”E-E-A-T”へ更新したことからも分かるように、「誰がどんな情報をどのように発信」しているかをGoogleは重要視しています。
    つまり、”SGE”のリリース後もユーザーファーストを第一に、ユーザーへ価値のある情報を提供していくが重要になるでしょう。

    SEO対策に関するよくある質問

    ここからは、SEO対策に関するよくある以下3つの質問に回答していく。

    • SEO対策は何をすればいい?
    • SEO対策に取り組む上で意識することはある?
    • SEO対策にはどんな種類がある?

    SEO対策は何をすればいい?

    SEO対策に取り組む際は、まず戦略設計から始めるのがセオリーだ。

    ターゲットの設定や必要なコンバージョン、ゴールを明確にし、狙うべきキーワードやコンテンツの方向性を決定しよう。その後、コンテンツの制作と合わせてWebサイトの内部構造を最適化していこう。

    またSEO対策には、Webマーケティング・デザイン・コーティング・SEOライティングなどさまざまなスキルが必要になる。

    社内に適正人材はいるか、リソースは足りているか、外注する場合はどのくらいの予算が必要かなども最初に洗い出しておくと良いだろう。

    SEO対策に取り組む上で意識することはある?

    SEO対策に取り組む上では、以下のことを意識しよう。

    • ユーザーファースト
    • Googleのアップデート
    • Webサイトの分析と改善

    Googleが検索結果に表示したいのは、ユーザーに利益をもたらすコンテンツだ。そのため、すべての施策においてユーザーのことを最優先に考えて行動することが重要である。

    しかし、Googleは頻繁にアップデートを行うことも忘れてはならない。常にアンテナを張り、時代に合わせた対策を行うことが大切だ。

    また、SEO対策で長期的な成果を上げるためにはWebサイトの分析と改善も欠かせない。アクセス解析や上位表示データを定期的に確認し、常に最良の施策を行なっていこう。

    SEO対策にはどんな種類がある?

    SEO対策の種類は、大きくわけて以下の3つだ。

    • 内部対策
    • 外部対策
    • コンテンツ制作

    しかし、SEOを行う際は3つすべてに取り組むのが一般的である。この記事を参考に、それぞれのセクションで適切な対策を講じてほしい。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか。

    SEO対策のメリット・デメリットから基礎的な対策方法までを解説しました。
    検索上位になることで様々なメリットがありますが、上位化するまでは長く険しい道のりです。
    ぜひこの記事を参考にSEO対策を進めてみてください。

    【SEO対策を外注する際の注意点について知りたい方は、以下の記事をご覧ください】
    SEO対策を外注する前に、注意すべきポイントや外注先の選び方について詳しく解説しています。
    外注先を探している、既にSEO対策を外注しているが効果が出ないとお悩みの方必見です。

    SEO対策を外注しようとお考えの方はこちら>>【失敗しない】SEO対策を外注へ依頼する前にぜひ知ってほしい内容を徹底解説
    SEO対策を外注する場合の費用相場について知りたい方はこちら>>SEO対策を代行業者へ依頼する場合の料金の相場は?

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