検索ボリュームは検索エンジン内での、特定のキーワードの検索数を示す数値です。
検索ボリュームを把握すると、検索結果に自社サイトが表示された際の、おおよそのアクセス数がわかるようになります。
そのためSEO対策やリスティング広告の運用など、検索エンジンを起点とした集客施策を展開するうえで、欠かせない指標です。
しかし検索ボリュームの調査方法や施策での使い方など、理解していない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、検索ボリュームの概要やSEO対策で重要な理由、おすすめの調査ツールなどを紹介していきます。
SEO対策の精度を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
検索ボリュームとは?
検索ボリュームとは、Googleなどの検索エンジンにおける、特定のキーワードの検索数のことです。
検索ボリュームは月間の数値で示されることが多く、1ヶ月に100回検索されているキーワードであれば「100」となります。
元はリスティング広告を出稿する際の指標として生まれましたが、検索エンジンとの関わりが深いSEO対策においても使われています。
検索ボリュームの大きいキーワードで上位表示を達成すれば、多くのアクセスが見込めるため、事業を円滑に進めることが可能です。
反対に検索ボリュームの調査なしに、競争に勝つのは難しいとも言えるほど、戦略策定において欠かせない指標となっています。
検索ボリュームの調査がSEO対策で重要な理由
現代ではSEO対策を行う際に、検索ボリュームを調査しない企業は無いと言っても過言ではありません。
多くの企業が検索ボリュームを参考にキーワード選定やコンテンツ制作を進めているため、無策で挑むと競争についていけなくなるおそれがあるのです。
他にも検索数が無いキーワードの対策に力を入れてしまうなど、検索ボリュームを把握していないと多くのデメリットが生まれます。
反対に検索ボリュームを調査すると、以下のようなメリットが得られます。
- 対策キーワードの難易度が分かる
- 上位表示を達成した際の流入数が予測できる
以下では、それぞれについて詳しく解説していきます。
対策キーワードの難易度がわかる
一般的にキーワードごとの対策難易度は、検索ボリュームに比例して以下のように考えられます。
検索ボリューム | 上位表示時のアクセス数 | 対策難易度 |
大きい | 多い | 高い |
小さい | 少ない | 低い |
したがって検索ボリュームが大きいキーワードは、競合も上位表示したいと思っています。
競争が激しいため、根気強く施策を打ち続けなければ上位表示は難しいです。
立ち上げたばかりなど、SEO評価が低いWebサイトでは、成果が出るまでに膨大な時間を要します。
一方、検索ボリュームが小さいキーワードは、競合も力を入れていないことがあるため、新規のWebサイトでも上位表示ができる可能性があります。
自社の状況と検索ボリュームを照らし合わせることで、効率よくSEO対策を進められるでしょう。
上位表示を達成した際の流入数が予測できる
SEO対策では、表示順位に応じてある程度クリック率(CTR)が決まっています。
順位別の平均的なCTRを表にまとめました。
表示順位 | CTR |
1位 | 39.8% |
2位 | 18.7% |
3位 | 10.2% |
4位 | 7.2% |
5位 | 5.1% |
6位 | 4.4% |
7位 | 3.0% |
8位 | 2.1% |
9位 | 1.9% |
10位 | 1.6% |
参考:Google Click-Through Rates (CTRs) by Ranking Position in 2024|First Page Sage
検索ボリュームと以下の数値を以下の式に当てはめると、自社のコンテンツが上位表示された際のおおよその流入数を把握できます。
CTR × 検索ボリューム = 想定流入数 |
たとえば、検索ボリュームが10,000のキーワードで1位に表示された際は、月間で以下のアクセスが見込めます。
0.389 × 10,000 = 3,980 |
想定流入数がわかれば、施策が成功した際に得られる利益を計算しやすくなり、効果的な戦略策定が可能です。
また、すでに自社サイトで上位表示できているキーワードが多くある場合、CTRを独自に計測することでより正解に近い数値を算出できます。
リソースの配分や工数を算出しやすくなるなどのメリットもあるため、効率的に施策を進められるでしょう。
検索ボリュームの目安とキーワードの種類
検索ボリュームの目安を知る前に、ボリュームに応じたキーワードの分類について理解する必要があります。
各キーワードの概要を表にまとめました。
名前 | 検索ボリュームの目安 |
ビッグキーワード | 10,000以上 |
ミドルキーワード | 1,000〜10,000 |
スモールキーワード(ロングテールキーワード) | 1,000以下 |
SEO対策のキーワード選定を行う際は、まず洗い出したキーワードを上記に分類した上で、対策の優先順位を決めていきます。
どのキーワードから対策していくかは、Webサイトの状況によって変わります。
たとえば新規で立ち上げる場合は、サイト自体のSEO評価が低いため、競争が激しいビッグキーワードから攻めるのは得策ではありません。
またミドルキーワードも、検索ボリュームが10,000に近いものは後回しにしたほうが賢明でしょう。
反対に、ある程度の上位表示ができている場合、改めてスモールキーワードを対策しても、流入やコンバージョンの増加は見込みづらいです。
施策のフェーズを適切に見極めて、上位表示が見込めるキーワードから対策していきましょう。
SEO対策で検索ボリュームを活かすポイント
検索ボリュームは、以下のポイントでSEO対策に活かせます。
- キーワード選定
- コンテンツ制作
- Webサイト構造の最適化
それぞれ詳しく解説していきます。
キーワード選定
さまざまなツールを使って、対策すべきキーワードを洗い出します。
検索意図が重複しているものも多いため、重要なキーワードだけに絞り込みを行いますが、基準がないと適切な精査ができません。
しかし検索ボリュームを使うことで、重要なキーワードが絞り込みやすくなります。
検索ボリュームを基準に対策するキーワードを決めていけば、上位表示後に自然と流入やコンバージョンも増加していきます。
コンテンツ制作
SEO対策では膨大な数のコンテンツを制作します。
闇雲に取り組むと、効率が落ちるのはもちろん、戦略的に内部リンクを貼ることもできないため、思ったような成果が見込めません。
そのため検索ボリュームを参考に、制作するコンテンツの順番を決めていきます。
その際、スモールキーワードの中でボリュームが大きいキーワードや、それに関連するコンテンツから着手するのがおすすめです。
また関連するキーワードをコンテンツに盛り込む際も、検索ボリュームを参考にすれば、タイトルや見出し構成が作りやすくなります。
Webサイト構造の最適化
検索ボリュームは、Webサイトを作る際にも役立ちます。
一般的にWebサイトはツリー構造と呼ばれる、以下のような構造で作られています。
トップページ | |||
カテゴリー1 | カテゴリー2 | ||
カテゴリー1に属する記事 | カテゴリー1に属する記事 | カテゴリー2に属する記事 | カテゴリー2に属する記事 |
上記のうち、メインで検索結果に表示され、ユーザーが集まりやすいのは第3階層にある記事ページです。
そこから集めたSEO評価は、パンくずリストなどの内部リンクを通じて上の階層に引き継がれます。
そのため、一般的に第1階層のページのSEO評価が最も高くなります。
つまり検索ボリュームが大きいページは、トップページやカテゴリーページで対策した方が、上位表示しやすいのです。
したがって、Webサイトの制作時に検索ボリュームを考慮することで、SEOに強い構造が作れます。
たとえば、メインの対策キーワードが「SEO対策」の場合、以下のようにキーワードを割り当てます。
対策キーワード | 分類 | |
第1階層 | SEO対策 | ビッグキーワード |
第2階層 | SEO対策 費用/SEO対策 やり方 | ミドルキーワード |
第3階層 | SEO対策 自分で/SEO対策 設定 | スモールキーワード |
Webサイトの構築段階から、検索ボリュームを意識した作り込みを行えば、スムーズに成果を上げられるでしょう。
【無料あり】検索ボリュームの調査におすすめの7つのツール
検索ボリュームの調査は、専用のツールを使って行います。
よく利用される以下6つのツールについて、詳しく解説していきます。
- Googleキーワードプランナー
- ruri-co
- aramakijake.jp
- ラッコキーワード
- Keywordmap
- Ahrefs
Googleキーワードプランナー
Googleキーワードプランナーは、Google広告の機能に含まれているキーワード調査ツールです。
Googleが提供しているため数値の信頼性が高く、SEO対策のキーワード選定を行う際に欠かせないツールです。
無料で利用でき、検索ボリューム以外にも広告の入札単価やキーワードの競合性などを確認できるため、SEM全体で利用されています。
ただしGoogle広告を出稿していない場合は、「100〜1,000」などのアバウトな数値しか表示されない点に注意が必要です。
具体的な数値が知りたい場合、1円でも良いので広告を出稿しましょう。
Googleキーワードプランナーは以下の手順で利用できます。
- Google広告にアクセス
- 広告アカウントを作成し、ログイン
- サイドバーにある「ツール」の中から「キーワードプランナー」を選択
- 以下のいずれかをクリック
新しいキーワードを見つける;関連するキーワードの調査も合わせて行いたい場合
検索ボリュームと予測のデータを確認する:特定のキーワードの検索ボリュームだけを調査したい場合 - 調査したいキーワードを入力
- 「結果を表示」をクリック
なお、「新しいキーワードを見つける」では、関連性の高いキーワードが大量に表示されます。
キーワード選定に役立つため、積極的に使いましょう。
関連記事:Googleキーワードプランナーの使い方!初心者向けに基本を解説
ruri-co
ruri-coは、無料で使えるキーワード調査ツールです。
キーワードを入力して調査にかけるだけで、検索ボリュームを簡単に調査できます。
また検索ボリューム以外にも、共起語や競合の対策状況などが調査できることから、タイトルや見出し構成の作成にも役立ちます。
ruri-coの利用手順は以下のとおりです。
- ruri-coにアクセス
- 検索窓に調査したいキーワードを入力
- 利用規約の確認が表示されるため「OK」をクリック
上記のステップだけで、キーワードに関する多くのデータが手に入ります。
Googleキーワードプランナーのように、制限なく詳細な数値が表示されるため、完全無料で検索ボリュームを調査したい方におすすめです。
aramakijake.jp
aramakijake.jpは、無料で使える検索ボリュームの調査ツールです。
上位表示できた際の月間のアクセス数の予測も順位別に表示してくれるため、対策するキーワードの優先順位がつけやすくなります。
またGoogleだけではなくYahoo!の検索ボリュームも調べられるため、より効率的に施策を進められます。
ただし1つずつしかキーワードを調査できないので、キーワード選定ではなくコンテンツ制作の優先順位決めに利用するのがおすすめです。
aramakijake.jpは、以下の手順で利用できます。
- aramakijake.jpにアクセス
- 検索窓に調査したいキーワードを入力
- 「チェックする」をクリック
結果はすぐに表示され、CSVで保存もできます。
無料で手軽に利用できるため、使ったことがない方は一度利用してみましょう。
ラッコキーワード
ラッコキーワードは、SEO対策に役立つ多様な機能が搭載されたツールです。
サジェストキーワードの抽出ツールとして有名ですが、実は検索ボリュームの調査も行えます。
他にも共起語や競合の見出し抽出、AIによる見出し構成作成の補助など、さまざまな機能が搭載されています。
ただし、検索ボリュームの調査を含む多くの機能は、有料プランでしか使えないため注意しましょう。
料金プランは複数用意されており、最も安いものは月額440円(税込)から利用可能です。
ラッコキーワードでの検索ボリュームの調査は、以下の流れで行えます。
- ラッコキーワードにアクセス
- 検索窓に調査したいキーワードを入力
- 検索窓の右側にある選択肢から「月間検索回数」を選択
- 「虫眼鏡マーク」をクリック
有料ではあるものの、検索ボリューム以外のさまざまな情報も一括で抽出できるため、導入すれば作業効率が大幅に向上するでしょう。
関連記事:ラッコキーワードはSEOに欠かせないツール!使い方や仕組みを解説
Keywordmap
Keywordmapは、SEO対策に特化した分析ツールです。
検索ボリュームはもちろん、関連キーワードの洗い出しや競合が対策しているキーワードなど、さまざまな項目を調査できます。
大量のキーワードを一度に調査でき、分析作業も自動化できるため、導入すれば生産性の向上が見込めます。
サービスは有料版のみですが、7日間の無料トライアルも用意されているので、一度使用感を試してから導入できる点も魅力的です。
Keywordmapでは、以下の手順で検索ボリュームを調査できます。
- Keywordmapの利用登録
- Keywordmapにログイン
- 左側のメニューにある「検索市場調査」から「検索ボリューム調査」をクリック
指定したキーワードだけでなく、関連キーワードも調査できるため、効率的にキーワード選定を行えるでしょう。
関連記事:競合分析を効率化できる包括的なSEOツール「Keywordmap」
Ahrefs
Ahrefsは、Webサイトの被リンク調査に強みを持つ包括的なSEOツールです。
「Keywords Explorer」という機能で、キーワードの検索ボリュームや対策難易度を調べられます。
「Traffic Potential」という指標では、上位表示できた際の流入数の予測が可視化されるため、戦略策定の参考にできます。
また競合サイト分析にも優れており、流入を集めているキーワードやそれぞれの検索ボリューム、ページごとの推定流入数も確認可能です。
有料版しか提供されていませんが、導入すればSEO対策に必要なデータがほとんど手に入るため、多くの企業で利用されています。
Ahrefsでは、以下の手順で検索ボリュームを調査できます。
- Ahrefsの利用登録
- Ahrefsにログイン
- 左側のメニューにある「Keywords Explorer」をクリック
- 調査したいキーワードを入力
- 「虫眼鏡マーク」をクリック
なおキーワードは同時に複数入力が可能で、CSVで大量のキーワードデータを読み込ませることもできます。
導入すれば、SEO対策を大幅に効率化できるでしょう。
関連記事:エイチレフス(Ahrefs)とは?できることや料金について解説
検索ボリュームをSEO対策に活かす方法
検索ボリュームは、SEO対策のさまざまなポイントで活かせます。
以下では、検索ボリュームを参考にコンテンツSEOに取り組む際の、キーワード選定からコンテンツ制作までの流れを紹介していきます。
- 関連するキーワードを洗い出す
- ツールを使って検索ボリュームを調べる
- キーワードを精査する
- 対策するキーワードの優先順位を決める
- コンテンツを制作する
関連するキーワードを洗い出す
最初に関連するキーワードをすべて洗い出します。
この際少しでも関連性があれば、先入観なくすべて抽出するのがポイントです。
たとえば、「SEO対策」に関するメディアを立ち上げる際は、以下のようなトピックも関連性があると考えられます。
- Web制作
- Webマーケティング
- 採用・求人
- ブランディング
精査は検索ボリュームや検索意図をベースに後ほど行うため、この時点ではとにかくたくさんのキーワードを集めるようにしましょう。
ツールを使って検索ボリュームを調べる
Googleキーワードプランナーなどのツールを使って、洗い出したキーワードの検索ボリュームを調査します。
その際、キーワードはCSVデータとしてアップロードすると効率的です。
また、調査した検索ボリュームはExcelやGoogleスプレッドシートなどにまとめておくと後の作業が楽になります。
キーワードを精査する
以下のようなポイントを基に、キーワードを精査します。
- 検索ボリューム
- 検索意図
- 自社サイトとの関連性
検索ボリュームが全くないキーワードは、除外して問題ありません。
検索意図が重複しているキーワードも、ボリュームが少ない方を弾くようにしましょう。
またトピック単位では関連していても、キーワード単位では関連性が薄いものもあります。
たとえば、「SEO対策」に関するメディアであれば以下のようなケースが起こります。
関連のあるキーワード | 求人 自社サイト やり方 |
関連のないキーワード | 採用 ミスマッチ 原因 |
上記はいずれも「採用」に関するトピックですが、後者はSEO対策と関連性がないため、対策する必要はありません。
適切な見極めを行い、本当に必要なキーワードだけを残しましょう。
対策するキーワードの優先順位を決める
キーワードの精査が終わったら、対策する順番を決めていきます。
ただし、検索ボリュームが大きいキーワードから対策すれば良いというわけではない点に注意してください。
多くのアクセスが見込めるキーワードは競合も力を入れて対策しています。
したがって、新規で立ち上げるWebサイトで勝負を挑んでも、勝てる見込みは薄いです。
そのため最初は検索ボリュームが小さい「ロングテールキーワード」から対策を進めましょう。
ロングテールキーワードは比較的上位表示しやすいうえに、検索意図が明確なことが多いことから、コンバージョンにもつながりやすいです。
またキーワードの優先順位を決める際は、「インデックス数」も合わせて確認してください。
インデックス数とは、特定のキーワードで検索をした際にGoogleが表示しようとしたページの数を示す数字です。
Googleの検索結果に以下のように表示され、数値が低いほど競合が少ないことを表します。
ロングテールキーワードの中でも、インデックス数が100万を下回るキーワードは特に上位表示しやすいです。
また検索ボリュームが多く、インデックス数が少ないキーワードを見つけられれば、効率的にアクセスを伸ばすことができるでしょう。
コンテンツを制作する
決定した優先順位に基づいて、コンテンツを制作していきます。
コンテンツ作成の際にも、以下のポイントで検索ボリュームが活用できます。
- 関連キーワードの調査
- 競合分析
SEOコンテンツの制作では、サジェストや関連キーワードを調査し、適切に記事に盛り込む必要があります。
抽出したキーワードの検索ボリュームを調べることで、精査がしやすくなるため、タイトルや見出し構成の作成がスムーズに行えます。
また、競合が記事内で対策しているキーワードのボリュームを調べることで、力を入れているポイントなども見極めやすくなります。
検索ボリュームの分析をコンテンツ制作に活かすことで、さまざまなキーワードでの上位表示が見込め、より多くの流入が期待できます。
まとめ:検索ボリュームを使って効率的にSEO対策を進めよう
検索ボリュームを調べれば、キーワードごとの月間の検索数の目安がわかります。
流入が見込めるキーワードを判別できるため、キーワード選定やコンテンツ制作の質が向上します。
検索ボリュームはツールを使って調査しますが、さまざまなツールが存在するため、自社に合うツールを見つけて作業にあたることも大切です。
この記事を参考に検索ボリュームを活かして、SEO対策の精度を向上させてください。
株式会社eclore Web Director / Marketing Director
デザイン専門学校を卒業後、2012年に入社。Web領域を中心に、コーポレートや採用サイト、メディアサイトなどのデザイン、コーディング業務に従事。また、リスティングを中心とした広告運用も担当。SEO・広告の観点で優位性のあるWeb制作を得意としています。Web制作数 年間100以上 / 広告運用額 年間2億円以上。