「タグクラウド」というものを聞いたことがあるでしょうか。
「タグ」に関連するものとはわかっても、詳しく知らないかもしれません。
この記事では、タグクラウドの概要や作成方法について解説します。あわせてメリット・デメリットもまとめているので、タグクラウドに興味がある方は、ぜひご覧ください。
目次
WordPressのタグクラウド(tag cloud)とは?
WordPressのタグクラウド(tag cloud)とは、投稿ページに割り当てたタグを一覧表示したものです。
WordPressのサポートドキュメントにおいて以下のように説明されています。
タグとはそれぞれの投稿に割り当てるキーワードです。
タグクラウドは、ホームページのサイドバーに表示するなどして、ユーザーが必要な情報や興味のある情報にアクセスしやすくするナビゲーションの役割を担います。
WordPress ウィジェットはサイドバーにコンテンツや機能を追加します。WordPress にはデフォルトで「カテゴリー」「タグクラウド」「検索」などのウィジェットがあります。ウィジェットを追加するプラグインもあります。
SEO情報を発信しているホームページであれば、各投稿記事に「オウンドメディア」や「アクセス解析」、「内部施策」といった投稿する記事に関連するキーワード(タグ)を設定するケースがあります。
後述するWordPressのウィジェット機能などを使うと「オウンドメディア」や「アクセス解析」、「内部施策」といったタグクラウドを一覧表示できます。
タグクラウドを設置すると、オウンドメディアを運営している方は「オウンドメディア」、アクセス解析に悩んでいる方は「アクセス解析」を選択して、関連する投稿記事を探せます。
タグクラウドの作成方法5選
実際にタグクラウドを作成してホームページに表示したい方のために、5つの作成方法を紹介します。
- WordPressの機能で作る
- WordPressのプラグインで作る
- タグクラウドジェネレーター(作成ツール)を利用する
- PHPで生成する
- jQueryプラグイン(JavaScript)で作成する
WordPressや一部のCMSでは比較的簡単にタグクラウドを表示できるので、ぜひ確認してください。
①WordPressの機能で作る
WordPressを使っているホームページであれば、WordPressの機能を使って、以下の手順で簡単にタグクラウドを作れます。
- WordPress管理画面の「外観」>「ウィジェット」をクリックする
- 「タグクラウド」ウィジェットを、サイドバーなど表示したい場所にドラッグ・アンド・ドロップする
「外観」>「カスタマイズ」>「ウィジェット」>「サイドバー」と選択して、「ウィジェットを追加」ボタンからタグクラウドを追加することも可能です。
ウィジェットの設定をしながら実際のホームページ画面をプレビューできる後者の方法がおすすめですが、一部のテーマは後者の方法をサポートしていないので注意してください。
②WordPressのプラグインで作る
WordPress本来の機能ではなく、以下のようなプラグイン(拡張機能)でタグクラウドを作ることも可能です。
- TaxoPress(旧:Simple Tags)
- xili-tidy-tags
- Cool Tag Cloud
タグクラウドで表示するタグをグループ化したり、色を付けたりなど、WordPressの基本機能だけではできない細かな設定もできるようになります。
ただし、プラグインはWordPressの最新バージョンに対応していない可能性もあるので注意しましょう。今後もプラグインがWordPressのバージョンアップに対応するかどうかも不明です。
なお、紹介した3つのプラグインのうち、2024年4月時点で最新のWordPress(バージョン6.5.2)に対応しているものはTaxoPress(旧:Simple Tags)のみでした。
③タグクラウドジェネレーター(作成ツール)を利用する
WordPressをインストールしていない場合、タグクラウドジェネレーターと呼ばれるタグクラウド作成ツールを利用する方法もあります。
具体的なツールは多数あるので、使いやすいツールを選びましょう。
なお、一部のCMSではタグクラウドを表示するためのテンプレートタグも準備されているので、詳しくはお使いのCMSのドキュメントを参照してください。
④PHPで生成する
WordPressの場合、テンプレートファイルに「wp-tag-cloud()」を記述するだけでタグクラウドを表示できます。
パラメーターを設定すると以下のような項目を変更できるので、「外観」>「ウィジェット」や「外観」>「カスタマイズ」を使うより、細かく表示方法を変更できる点がメリットです。
- フォントサイズ
- 表示するタグの数
- 表示するタグの順番
- 表示するタグの指定
ウィジェット以外の場所に表示させたいときや、より細かなカスタマイズをしたい場合におすすめの方法です。
⑤jQueryプラグイン(JavaScript)で作成する
jQueryプラグイン(JavaScript)でタグクラウドを作成し、表示する方法もあります。
一般的に使われているWordPressのタグクラウドよりもクールなデザインである点がメリットです。
一方で、表示するタグをコードでどのように指定するかを検討する必要があるなど、プログラミングに関する知識が必要な点はデメリットといえます。
タグクラウドを作成する時の注意点
タグクラウドを作成する時は、以下3つの点に注意が必要です。
- タグを増やしすぎないこと
- タグページはインデックスしないこと
- CSSでデザインを調整すること
場合によってはSEOに悪影響が出てホームページの検索順位が下がってしまうことも考えられるので、よく確認しておきましょう。
タグを増やしすぎないこと
タグを増やしすぎると、かえってユーザーが必要な情報を見つけにくくなるため注意が必要です。
仮に「SEO」と「Search Engine Optimazation」といった2つのタグがある場合、ユーザーはどのタグを選んでSEOに関する記事を探すか迷ってしまいます。
「SEO」とタグ付けされた記事は多いのに「Search Engine Optimazation」のタグが付いた記事は少ないといった状況もあるでしょう。この場合、ユーザーが必要な記事にたどり着けなかったり、ブラウザバックしたりするなどユーザビリティが悪化してしまいます。
また、1つの記事につけるタグは、3つ以下にするとよいと言われています。
このようにユーザビリティが悪いホームページではGoogle(検索エンジン)からの評価も下がる可能性があるので、タグを増やしすぎないように注意しておきましょう。
タグページはインデックスしないこと
タグページのインデックスを望むかどうかは方針次第ですが、デメリットも多いため、迷ったらインデックスしない選択を取るのが無難です。
タグページがインデックスされてしまうと、場合によっては「質の低いディレクトリ」のリンクや「価値のない質の低いコンテンツ」と検出されてSEO上の悪影響が生じる可能性があります。
また、似たようなタグページが複数インデックスされると、「内容が類似する複数のページ」として検出される可能性もあるため注意してください。
CSSでデザインを調整すること
WordPressは簡単にタグクラウドを設置できますが、デフォルトでは見やすいデザインとはいえないので、CSSでデザインを調整することをおすすめします。
文字色や文字サイズ、フォントサイズなどを調整してユーザビリティの良いタグクラウドにしましょう。
多くのタグを表示するのではなく、人気のあるタグに限って表示するのもコツです。
プラグインで見やすく変更できる場合もあります。
タグクラウドのSEO効果
「Google Search Central」のYouTubeチャンネルに投稿された動画では、以下のように指摘されています。
タグクラウドはテキストリンクのリストに過ぎず、小さい場合など通常はSEO上の悪影響はないものの、大きくなるとキーワードスタッフィング(詰め込みすぎ)になる点に注意が必要だ。
場合によってはマイナスのSEO効果が懸念されているので、タグを増やし過ぎず、インデックスしないように設定するなどの注意が必要です。
タグクラウドのメリット
タグクラウドを表示させるメリットは以下の3つです。
- ユーザーの回遊率向上を見込める
- クローラビリティの向上を見込める
- インデックス数の増加を見込める
後述するデメリットとあわせて、タグクラウドを表示させるかどうか検討してください。
ユーザーの回遊率向上を見込める
タグクラウドは、キーワード(タグ)に関連する投稿記事をまとめたタグページへのリンクなので、ユーザーがそのリンクを辿ることによって回遊率向上を見込めます。
SEOとタグの付いた記事を読んだ後にアクセス解析に興味を持ち、「アクセス解析」のタグが付いた記事を見てくれるといった動きを期待できるでしょう。
ユーザーが自社のホームページの中で次々に記事を回遊してくれると、他のホームページに離脱されずに済むので、SEO上の良い影響も見込めます。
クローラビリティの向上を見込める
投稿記事にタグを付けることによって、記事一覧ページの3ページ目、4ページ目など深い層にある比較的古い記事も、タグページからすぐにアクセスできるようになる可能性があります。
すると、リンクを辿って記事を見つける検索エンジンのクローラーにとっても記事を見つけやすくなります。
つまり、タグを設定することによって古い記事であってもリンク階層が浅くなり、クローラーから認識されやすくなるのです。
インデックス数の増加を見込める
タグを付けるとタグごとにタグページが作成されるので、1つのホームページにおいて検索エンジンのデータベースに登録されるページ数(インデックス数)の増加も見込めます。
インデックス数が増えると、コンテンツが豊富と判断され、質が良ければ専門性の高いホームページだと認識してくれる可能性があります。
ただし、質の低いページをインデックスされることは避けるべきなので、場合によっては「noindex」を使用しましょう。
タグクラウドのデメリット
タグクラウドには、メリットだけでなく以下のとおり2つのデメリットがあります。
- 管理に手間がかかる
- タグ付けの手間がかかる
メリットを理解したうえで、紹介するデメリットを許容できるのか検討してみると良いでしょう。
管理に手間がかかる
「Google Search Central 」のYouTubeチャンネルに投稿された動画でも指摘されていたように、タグクラウドが大きいとキーワードの詰め込み過ぎとしてSEO上のペナルティを受ける可能性があります。
また、似たようなキーワードでタグを設定すると似たようなタグページが作られてしまうので、重複コンテンツとしてもペナルティを受ける可能性があります。
このようなペナルティを受けないためにも、タグクラウドの表示数を少なくしたり、どのようなタグを付けるのか検討をしたりなど、手間がかかるのがデメリットです。
タグ付けの手間がかかる
タグクラウドを表示するためには、個別の投稿記事に都度タグを設定します。重複の有無も確認しなければいけないので、負担が生じてしまうでしょう。
TaxoPress(旧:Simple Tags)など、タグ付けの手間を抑えられるWordPressプラグインもあるので、必要に応じて導入を検討してください。
タグクラウドに関するよくある質問
タグクラウドに関するよくある質問をまとめているので、理解度を上げるためにもぜひ参考にしてください。
カテゴリーとの違いは?
タグとカテゴリーは、どちらもユーザーが情報にアクセスしやすくなるといった共通点があります。しかし、カテゴリーには階層構造があり、タグには階層構造がない点が大きな違いです。
カテゴリーは設定したテーマごとに複数の記事を格納するフォルダのような役割を担いますが、タグには記事を格納するフォルダのような役割はありません。また、1つの投稿記事に対してカテゴリーは通常1つですが、タグは複数付けられる点も異なります。
カテゴリーは記事をまとめるフォルダ、タグは記事に付ける付箋としてイメージするとわかりやすいでしょう。
キーワードクラウドの違いは?
タグクラウドも、対象となるデータから使用している単語を抜き出して一覧表示するキーワードクラウドの一種といえます。
一般的なワードクラウドは、単語の出現頻度が大きいほど大きく表示されるため、テキストデータをより視覚的に表示し、特徴などを把握するために使われるものです。
一方で、WordPressにおいては、ユーザーが必要な情報にアクセスしやすくするために使われます。
まとめ:タグクラウドを理解して慎重に導入運用しよう
投稿記事に設定したタグをサイドバーなどに一覧表示するタグクラウドは、ユーザーにとって適切なナビゲーションとなり回遊率の向上を見込める反面、ペナルティを受けないための手間がかかってしまいます。
タグクラウドの設置は、手間をかけてでも設置・表示してユーザー体験を向上させたいかどうかの判断となるでしょう。SEOを考慮すると、タグクラウドを設置した場合の良い影響は限定的で、場合によっては悪い影響を及ぼすおそれがあるため、設置しないほうが無難かもしれません。
本記事で紹介した内容をふまえながら、タグクラウドを設置するかどうか慎重に判断してください。