
検索エンジンは、インターネットでの情報収集に欠かせないシステムで、世界中でさまざまな種類が活用されています。とはいえ、GoogleやYahoo!といった代表的な検索エンジン以外、あまり知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は検索エンジンについて、シェア率のTOP10をランキング形式で比較・解説します。
検索エンジンの種類や特徴が気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
検索エンジンの仕組み
検索エンジンは、インターネット上に存在するWebページや画像、動画などを探すためのシステムです。検索窓にキーワードを入れて検索することで、関連性の高いコンテンツが表示されます。
検索エンジンには、「ディレクトリ型」と「ロボット型」の2種類があります。
ディレクトリ型は、Webサイトがカテゴリ別に集約されたシステムで、知りたい情報に応じてカテゴリから該当ページを検索します。
品質を維持するために、一定の基準を設けて目視で掲載審査を実施しているので、登録サイト数が少ない傾向があります。また、インデックスもすべて手作業のため、検索結果に反映されるまでに膨大な時間を費やします。
一方のロボット型は、ディレクトリ型のデメリットを解消した近年主流のシステムです。
クローラーというプログラムが世界中のWebサイトを巡回し、データベースに情報を自動で登録する仕組みを採用しています。公開したWebページが検索結果に反映されるまでの流れは以下のとおりです。
- クロール
- インデックス
- クエリプロセス
- ランキング
順番に解説します。
クロール
検索エンジンにはクローラーというプログラムがあり、インターネット上に存在するWebページを巡回して情報を収集します。情報を集める行為をクロールといい、この段階で初めて検索エンジンにWebページが認知されます。
なお、ページを公開していても、クロールされなければ検索結果に表示されません。
コンテンツの内容や内部構造を見直して、クローラーが認識しやすいページにすることで、クロール効率を高められるでしょう。
インデックス
インデックスは、クロールで収集した情報を検索エンジンのデータベースに登録する工程です。クローラーが集めた情報からキーワードを自動で抽出し、取り出しやすい形式で格納します。
サイト構造に問題のあるサイトや規約違反によってペナルティを受けた際は、インデックスされないケースもあります。
クエリプロセス
クエリプロセスは、検索キーワードとインデックスされた情報を照らし合わせて関連する情報をリストアップし、検索結果に表示する工程です。
「検索エンジン ランキング」というキーワードを入力したケースを例に挙げましょう。
この場合、「ユーザーは検索エンジンのランキングについて知りたいので、人気順やシェア率が確認できるサイトを提示しよう」と解釈します。
ランキング
クエリプロセスの工程でユーザーが求める情報を解釈したら、検索結果に表示すべきページのリストアップ作業に移ります。
その際に用いられるのが、ランキングアルゴリズムです。情報の鮮度・信頼性・独自性・権威性など100種類以上に渡る指標をもとに、検索順位が決定されます。
検索順位を決める指標は公表されていませんが、ユーザーにとって有益な情報を提供するサイトほど高く評価される傾向があります。
【2025年】検索エンジン一覧をランキング形式で確認
ここからは、世界中で利用されている検索エンジンをランキング形式で紹介します。
順位 |
検索エンジン |
特徴 |
第10位 |
Ecosia |
検索するごとに木が植えられる |
第9位 |
Sogou |
中国で第2位のシェア率を誇る検索エンジン |
第8位 |
Coc Coc |
ベトナムの企業が開発した検索エンジン |
第7位 |
NAVER |
韓国最大の検索エンジン |
第6位 |
Baidu |
中国で最大の検索エンジン |
第5位 |
DuckDuckGo |
プライバシー保護に強み |
第4位 |
Yahoo! |
ポータルサイトの先駆け的存在 |
第3位 |
YANDEX |
ロシアの検索市場で強み |
第2位 |
Bing |
AIチャット機能を搭載 |
第1位 |
|
検索市場で圧倒的なシェアを占める |
それぞれ見ていきましょう。
第10位「Ecosia」
Ecosia(エコシア)は、ドイツの企業が開発した環境に優しい検索エンジンです。
通常、ユーザーの検索によって発生する広告収入は、投資家や広告主に還元されます。しかしEcosiaでは、収益の約80%が樹木活動をおこなう非営利団体「WWF」に寄付されます。
ユーザーが約45回検索するごとに1本の木が植えられる仕組みになっていて、これまでに1億本以上の木が植えられています。検索を通して環境保全に取り組みたい方は、ぜひチェックしてみてください。
第9位「Sogou」
Sogou(搜狗搜索)は、中国で第2位のシェア率を誇る検索エンジンです。今まではBaiduが独占状態でしたが、2022年から徐々にシェアを拡大しています。
検索結果の精度はもちろん、音声認識や生体認証など最先端のAI開発にも力を入れており、ユーザーの利便性向上が期待されています。また、検索結果の上部に広告が表示されるため、キーワードを狙って出稿することで高いインプレッションも見込めるでしょう。
中国でのアクセス拡大を目指すなら、BaiduだけでなくSogouのSEO対策も必須です。
第8位「Coc Coc」
Coc Coc(コックコック)はベトナムの企業が開発した検索エンジンで、2013年にベトナムのソフトウェア会社であるCốc Cốc JSCによって開発されました。ベトナム語での検索に特化しているのが特徴で、ベトナムではGoogleに次ぐシェアを獲得しています。
また、言語が複雑なベトナム語を使うユーザーのために、ベトナム語のオート入力補助やスペルチェックといった便利機能も搭載しています。
第7位「NAVER」
NAVERは韓国最大の検索エンジンで、1999年にサムスングループ傘下のNHNによって設立されました。ポータルサイトとして「メール・ニュース・動画」といったさまざまなサービスを提供しており、韓国を中心にアジア圏で活用されています。
また日本国内でもNAVERまとめ(インターネットまとめサイト)が人気でしたが、無断転載やフェイクニュースなどの問題もあり、2020年9月にサービスを終了しました。
第6位「Baidu」
Baidu(百度)は、中国で最大の検索エンジンです。中国語で書かれたWebサイトをクロールし、検索キーワードに関連する結果を表示します。
ただし、Baidu(百度)で閲覧できる情報は中国政府の検閲を受けた情報のみのため、Googleほど多くの情報は提供できません。
中国では政府によるインターネット検閲の一環として、2014年にGoogleの使用を禁止しています。そのためGoogleに代わる検索エンジンとして、Baidu(百度)が使われています。
第5位「DuckDuckGo」
DuckDuckGoは、プライバシー保護を重視した検索エンジンです。
一般的な検索エンジンは、ユーザーの検索履歴などをシステムに記録保存しますが、DuckDuckGoはそれをしません。これはDuckDuckGoの運営方針が、プライバシー保護を最優先としているためです。
また、検索結果のパーソナライズを行わないため、フィルターバブル(利用者の見たい情報ばかりが表示されること)に陥る心配もありません。
大手と比べると検索結果の数は少ないですが、プライバシー保護の観点から差別化できる検索エンジンです。
第4位「Yahoo!」
Yahoo!は1996年4月に、国内初の商用検索サイトとしてサービスが提供されたシステムです。検索エンジンはGoogleをベースに、Yahoo!独自のアルゴリズムや機能を搭載しています。
また、検索エンジン以外にもニュース・天気・株価・ショッピングといったコンテンツを提供しており、いわばポータルサイトの先駆者的な存在です。
第3位「YANDEX」
YANDEXは、ロシアの検索エンジン(ポータルサイト)の1つです。ロシア語で検索するユーザーのおよそ6割が使用しており、ロシアの検索市場ではGoogleに次ぐシェアを誇っています。
ニュース・天気予報・地図といったサービスを展開しており、よりロシア市場に特化した機能や情報を提供しています。
第2位「Bing」
Bingはマイクロソフトが提供する検索エンジンで、2009年に前身となる「MSN Search」と「Windows Live Search」に置き換わる形で誕生しました。
Googleに次ぐシェアを誇っており、検索精度の高さや使いやすいインターフェースが特徴です。ニュースや天気など、ポータルサイトとしてのサービスも提供しています。
また最近では、AIによるチャットボット機能を搭載した「Bing AI」の提供も開始。AIの回答精度の高さから、注目を浴びている検索エンジンの1つです。
第1位「Google」
Googleは、市場で圧倒的なシェアを占める検索エンジンです。何十億もの検索クエリを日々処理し、検索ニーズとマッチする情報を提供しています。
検索エンジンの90%以上という圧倒的なシェアを誇るため、SEO施策では「Googleから評価されるWebコンテンツをどう作るか?」を考えなければなりません。
またGoogleもマイクロソフトと同様、近年競争が加速化している「AI開発」に注力しています。2023年5月には、従来の検索エンジンに生成系AIを導入した「Search Generative Experience(SGE)」のリリースを発表し注目を集めました。
検索エンジンのシェア率ランキング
ここからは、検索エンジンのシェア率を市場別とデバイス別に紹介します。市場やデバイスごとに異なるマーケティング戦略を展開するなら、各シェア率の把握は必須です。
順番に見ていきましょう。
市場別(世界・日本)
世界市場では、Googleが圧倒的なシェアを誇っています。次いで、Microsoft社が提供するBingがランクイン。WindowsやMicrosoft officeなどの製品に標準搭載されていることが要因でしょう。
検索エンジン |
シェア率 |
|
85.5% |
Bing |
8.2% |
Yahoo! |
2.4% |
YANDEX |
1.4% |
DuckDuckGo |
0.7% |
参考:Market share of leading desktop search engines worldwide|statista
次に、日本におけるシェア率を見ていきましょう。
検索エンジン |
シェア率(デスクトップ・モバイル) |
|
73.0%・78.8% |
Bing |
15.6%・0.4% |
Yahoo! |
10.6%・20.3% |
その他 |
0.8%・0.5% |
参考:Most used desktop search engines in Japan|statista
Most used mobile search engines in Japan|statista
世界市場と同様に、すべてのデバイスにおいてGoogleがトップを独占。
デスクトップではBingが多く利用されているのに対し、スマートフォンではYahoo!JAPANのシェア率が高くなっています。Yahoo!JAPANには、検索エンジンだけでなくニュースや天気予報、地図など多くの機能があります。
これらの日常生活に関する情報はスマートフォンでの閲覧が多いことから、シェア率が高いと考えられるでしょう。
デバイス別(デスクトップ・モバイル)
デスクトップでは以下のとおり。
検索エンジン |
シェア率 |
|
85.5% |
Bing |
8.2% |
Yahoo! |
2.4% |
YANDEX |
1.4% |
DuckDuckGo |
0.7% |
参考:Market share of leading desktop search engines worldwide|statista
Googleが85.5%と高いシェアを誇っています。また、DuckDuckGoのシェア率が高いのも特徴です。
個人情報の漏洩やマルウェア感染などの被害が拡大していることから、プライバシー保護に対するニーズが高まっていると考えられます。
続いて、モバイルのシェア率も見ていきましょう。
検索エンジン |
シェア率 |
|
96.4% |
Baidu |
0.7% |
YANDEX |
0.6% |
Yahoo! |
0.6% |
Bing |
0.4% |
参考:Market share of leading mobile search engines worldwide|statista
デスクトップよりGoogleのシェアが高く、96.2%という結果に。Googleブラウザを採用しているAndroidのシェア率が約70%あるのが要因と考えられます。
検索エンジンを選ぶポイント
検索エンジンを選ぶ際のポイントは、以下の3つです。
- 検索結果の精度
- プライバシー
- 使いやすさ
1つずつ詳しく解説します。
検索結果の精度
検索結果の精度とは、検索クエリのニーズに対してどれだけ的確な情報を提示できるかを指します。GoogleやBingは、検索結果の精度も高いため使いやすい検索結果エンジンです。
一方、中国でのシェアが高いBaidu(百度)は中国政府の検閲を受けているため、検索結果の情報量でいえばGoogleよりも不足しています。
検索結果の精度は差があるため、目的やニーズとマッチした検索エンジンを選びましょう。
プライバシー
プライバシー保護についても、検索エンジンを選ぶ上では欠かせないポイントです。
たとえば検索エンジンの「DuckDuckGo」は、プライバシー保護を運営方針としているため、利用履歴やIPアドレス、ユーザー情報などが残りません。
そのため、検索結果によるパーソナライズ化もされません。プライバシー保護への配慮は、検索エンジンにより異なります。利用履歴を一切残したくないのであれば、「DuckDuckGo」の利用を検討してみましょう。
使いやすさ
検索エンジンの精度やプライバシー保護が高くても、自身にとって使いにくければ意味がありません。たとえばGoogleのTOP画面は、大きなロゴの下に検索窓があるだけのシンプルな構成です。これは、Googleがユーザーの利便性を最優先に考えているためです。
また、ポータルサイトの先駆けとも言えるYahoo!は、ツリー構造のカテゴリから探すディレクトリ検索をサービス開始当初から提供しています。
GoogleやYahoo!のように、検索エンジンはそれぞれ独自の機能やサービスを提供しています。ニーズや目的だけではなく使いやすさも考慮し、検索エンジンを選びましょう。
検索エンジンについてよくある質問
検索エンジンに関するよくある質問に回答します。ぜひ参考にして、自社に合う検索エンジンを見つけてください。
Googleに代わる検索エンジンは?
Googleに代わる検索エンジンには、Yahoo!JAPANが適しています。
検索機能はもちろん、ニュースや天気、株価、通販など多くのコンテンツが展開されているのが特徴です。知りたい情報がすべてまとめられているため、ポータルサイトとして利用する方も多いです。
また、Bingも注目すべき検索エンジンです。
Windows10がインストールされたPCに標準搭載されているため、高いシェア率を誇っています。独自のアルゴリズムを採用しているので、Googleやyahooとは異なる検索結果が表示されるのも特徴です。
検索エンジンの種類は?
検索エンジンは、「ディレクトリ型」と「ロボット型」の2種類に分類されます。それぞれの違いは以下のとおりです。
ディレクトリ型 |
・Webサイトがカテゴリ別に集約されたシステム |
ロボット型 |
・クローラーが世界中に公開されているWebサイトを巡回してデータベースに情報を自動で登録する |
以前はディレクトリ型が多く展開されていましたが、システムの進化によってロボット型を採用する検索エンジンが主流になりました。
プライバシー保護に優れた検索エンジンは?
プライバシー保護に優れた検索エンジンは、以下の3つです。
- DuckDuckGo
- Brave
- Startpage
「DuckDuckGo」は、ユーザーの検索履歴がシステムに残らないのが特徴です。検索結果のパーソナライズも実施されないため、似たような情報が表示される現象も起きません。
「Brave」は、プライバシー保護とページの高速表示に特化した検索エンジンです。cookieが蓄積しない仕組みを採用しているため、広告が表示されないメリットがあります。また、マルウェアなどの有害なプログラムをブロックする機能も搭載されているので、安心して利用できます。
「Startpage」は、個人情報を渡さずにGoogleを利用できる検索エンジンです。検索結果の品質はGoogleと同じなので、安全性を保ちながら調べものをしたい場合に適しています。ユーザーのプライバシー保護と安全性を重視しているため、個人情報流出やマルウェアが不安な場合でも安心して利用できます。
安全な検索エンジンを使用したい方は、ぜひチェックしてみてください。
AIが搭載された検索エンジンは?
AIが搭載された検索エンジンは、以下の2つです。
- Perplexity AI
- Bing
Perplexity AI(パープレキシティ・エーアイ)は、2022年12月に公開された世界初の対話型AI検索エンジンです。世界中のWebページから情報を収集し、ユーザーの質問に対する的確な回答を表示してくれます。また、Bingも検索技術にいち早くAIを搭載したことで知られています。ChatGPT4の言語を採用しているのが特徴です。
Googleでも「Bird」というAIを自社開発していますが、本格的な実装には至っていません。
しかし、GoogleがAI検索に注目していることからも、今後はAIが搭載された検索エンジンが主流になる可能性が高いです。上記2つに慣れておけば、変化にスムーズに対応できるでしょう。
まとめ:ユーザーのニーズや目的に合った検索エンジンを選ぼう
検索エンジンのシェア90%以上はGoogleですが、他にもさまざま存在しています。選ぶ際は各検索エンジンの特徴を理解し、ニーズや目的に合ったものを選ぶのがポイントです。
本記事の内容を参考に、自社の使用環境とマッチした検索エンジンを活用しましょう。
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