動的ページは、ユーザーのニーズに応じて必要なコンテンツを臨機応変に表示できる、便利なページです。うまく導入できればユーザビリティやUXの向上が期待できるため、現代のWeb制作では必須のコンテンツと言えます。
しかしSEOを行う上で、複雑な動的ページは不利になると思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では動的ページがSEOに不利にならない理由や、導入の際に注意すべきポイントなどを解説していきます。動的なサイトの構築を考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
動的ページとは
動的ページとは、ユーザーがアクセスする度に異なる内容がプログラムによって生成されるページのことです。
わかりやすい例として、ECサイトの商品検索結果のページが挙げられます。検索結果のページは、「トップス」や「スカート」などの検索キーワードに応じて、表示するコンテンツが変わります。
また、別の日に同じキーワードで検索をしても、在庫の入れ替わりや新商品の追加などの理由で、異なる結果が表示されることもあります。
このように、アクセスするタイミングやユーザーが取るアクションによって、内容が変わるページが動的ページです。
動的ページは、ページを表示する度にプログラムがサーバーのデータベースから必要な情報を抽出し、ページを作成します。そのため、ユーザーが求める情報や新鮮なコンテンツを提供しやすく、取り入れられればユーザビリティの向上が見込めます。
しかし、後述する静的ページに比べてサーバーにかかる負担が大きく、ページの表示速度が遅くなりやすいデメリットもあります。
作成の際はスペックの高いサーバーを用意したり、呼び出しのための処理を軽くしたりなどの工夫が大切です。
静的ページとの違い
静的ページとは、タイミングやユーザーの行動に左右されずに、常に一定の内容を表示するページのことです。
たとえば、会社概要や企業理念のページなど、誰に対しても同じ内容を表示するページは、静的ページで作られます。
予め用意されている、HTMLファイルを呼び出すだけなので、サーバー側で複雑な処理を必要とせず、表示スピードが速いなどのメリットがあります。
動的ページの疑似静的化
動的ページのURLは複雑で長くなることが多いですが、疑似静的化を行うと静的ページのようにシンプルにできます。通常、それぞれのURLは以下のようになっています。
動的ページ | https://example.com/tops.php?p=1 |
静的ページ | https://example.com/tops |
静的ページのURLは普段よく見かけるURLです。
一方、動的ページは「?p=1」というパラメータと呼ばれるものが付与されています。「?」以降の「p」や「1」の部分はページの内容によって変更されるため、ページを開く度に異なるURLが生成されます。
ページ数や表示コンテンツのパターンが増えるほど、URLも長く複雑になってしまいます。
しかし、疑似静的化を行えばパラメータを表示しないシンプルなURLに変換可能です。わかりやすいURLはユーザビリティを向上させるため、必要に応じて行いましょう。
ただし、SEOでの流入を狙うページには疑似静的化は推奨されていないため、注意しましょう。
動的ページでもSEOに不利にはならない
現在、動的ページの使用がSEOに不利になることはありません。しかし、不利になるとされていた時代もありました。それには、検索エンジンの仕組みとGoogleの技術力が関係しています。
GoogleはURLでページを識別しています。かつての検索エンジンは、URLのパラメータを読み取ることができなかったため、静的なURLの使用が推奨されていました。
しかし、技術の向上により動的ページのURLも識別できるようになった旨を2008年9月に公言しています。
さらにURLは疑似静的化せずに、パラメータをそのまま表示することが推奨されています。これは検索エンジンがパラメータから情報の読み取りやページ同士の関連性を把握しているためです。
このことからも、動的ページの使用でSEOに不利になることはありません。
しかしGoogleは、URLはできるだけシンプルにするようにとも言及しています。不要なパラメータは削除し、少しでも短くなるように調整しましょう。
SEOを意識した動的ページはURLを正規化する
検索結果などの動的ページは性質上、同一内容でURLが異なるページが作成されやすいです。もし、そのようなページで検索上位を狙うなら、URLの正規化を行いましょう。
URLの正規化とは同一内容のページが複数ある場合に、クロール・インデックス・評価してほしいURLを検索エンジンに伝えるための対策です。
重複しているそれぞれのページに、最も評価してほしいURLを1つ指定することで、そのページに評価を集められます。実施しないと、アクセス数や被リンクなどのSEO評価が分散してしまい、検索順位に悪影響を及ぼす恐れがあります。
SEOを行う上では必須であるため、必ず行いましょう。
動的ページがSEOに悪影響を与えるケース
動的ページそのものがSEOに不利になることはありませんが、以下のようなデメリットは存在します。
- ユーザーがURLを認識しづらい
- 同一コンテンツが複数生成される可能性がある
- ページの表示速度が遅くなる
- サーバーがダウンしやすい
- セキュリティー対策に手間がかかる
それぞれ詳しく解説していきます。
ユーザーがURLを認識しづらい
動的ページのURLは性質上、複雑で長くなりやすいです。そのため、人間にとってはわかりづらい文字列として表示されます。
URLを擬似静的化すれば解消できますが、Googleはパラメータをそのままにしておくことを推奨しています。
しかし、クリック率に影響を与える可能性があるため、覚えておきましょう。
同一コンテンツが複数生成される可能性がある
ECサイトや相見積サイトなど、複雑な検索機能を必要とする場合は、同一コンテンツが意図せず生成されてしまうことがあります。
サイトの規模が大きくなるほど、検索のパターンも増えます。そのため、気づかないうちに重複コンテンツが大量に生成されるのです。
URLの正規化を行って、一つのURLに評価を集めたり、重複コンテンツ扱いを防いだりするようにしましょう。
ページの表示速度が遅くなる
動的ページは、ページを表示する度にデータベースから情報を引っ張ってきてコンテンツを生成します。そのため、どうしても静的ページに比べて表示速度が遅くなります。
表示速度の低下は直帰率と離脱率の増加につながるため、SEOに悪影響を与えます。
表示速度が1秒から3秒まで遅くなると、直帰率は32%増加する
表示速度が1秒から5秒まで遅くなると、直帰率は90%増加する
表示速度が1秒から6秒まで遅くなると、直帰率は106%増加する
表示速度が1秒から10秒まで遅くなると、直帰率は123%増加する
表示に3秒以上かかるモバイルページからは53%のユーザーが離脱している
Marketing Strategies|Think with Google
また、Googleは2018年1月にスピードアップデートを実施しており、表示速度が極端に遅いページの検索順位を下げる旨を発表しています。
検索順位に直接影響を与える恐れもあるため、PageSpeed Insightsを使って、自分のページに問題がないか確認しましょう。
もし問題が発見されれば、早急な改善をおすすめします。
サーバーがダウンしやすい
動的ページは、表示の際にデータベースの処理を必要とするため、サーバーに負荷がかかりダウンする可能性も高くなります。
すぐに復旧できれば問題ないですが、長期的にページが表示されない状態が続くと、検索順位が下がる可能性があるため、注意しましょう。
また上記の理由から、動的ページを作成する際はできるだけスペックが高いサーバーの使用をおすすめします。
セキュリティー対策に手間がかかる
動的ページを使用する際は、サーバーにデータベースを設置する必要があります。そのため、静的ページに比べてセキュリティ対策を頻繁に行わなければなりません。
万が一データベースに侵入を許してしまうと、悪意のあるユーザーにページの情報を書き換えられるなどのトラブルが発生します。コンテンツが書き換えられれば、サイトの品質低下を招きます。
検索順位に悪影響を及ぼすこともあるため、定期的なセキュリティチェックを行いましょう。
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まとめ:SEOへの影響が出ないように動的ページを活用しよう
動的ページを使えば、ユーザーが求めるコンテンツを表示しやすくなるため、利便性や満足度を向上させられます。また、現在はSEOに不利になることもありません。
しかし、ページの表示速度が遅くなったり、重複コンテンツが生成されるなどのリスクを理解しておかないと、悪影響を与える恐れがあります。
スペックが高いサーバーを導入する、URLの正規化を行うなどの工夫を行いながら、動的ページを活用してみましょう。
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