SEOで上位化を狙ううえで、対策キーワードへの理解は欠かせません。
なかでも「ビッグキーワード」は、上位化が叶えば膨大なPV数を獲得できるキーワードであるため、絶対に押さえておきたいSEO用語の一つです。
そこで今回は、SEOマーケティングに15年の歴史をもつ株式会社ecloreのWebマーケター寺西が、ビッグキーワードについてわかりやすく解説します!
SEOの基礎知識を学びたい方や、上位化のコツを知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
目次
SEOビックキーワードとは?
ビッグキーワードとは、簡単に言えば「検索ボリュームが多いキーワード」のことです。
何かを調べる際に、ユーザーが初めに検索するシンプルなキーワードを想像してもらうとわかりやすいかもしれません。
たとえば、新宿で昼食を取りたいとき、まず「新宿 ランチ」などと検索しますよね。
これがビッグキーワードにあたります。
実際に検索ボリュームを調べてみると、月間で110,000件ものアクセスがありました。
細かい絞り込みのない簡潔なキーワードなので、多くのユーザーが検索をかけているというわけです。
SEO対策でビッグキーワードを狙ってはいけない理由とは?
検索しているユーザーが多いビッグキーワードで上位化を狙うのは、一見効果がありそうに思えますが、実はメリットよりもデメリットが上回ります。
ビッグキーワードを狙うべきでない3つの理由を、それぞれ解説しますので、参考にしてみてください。
理由① 対策に時間がかかる
ビッグキーワードで上位化するには、数か月または数年単位 の時間がかかります。
検索数が多いキーワードは当然ほかの企業も狙っているため、大企業を含む数多くのライバル(競合)に勝ち抜いて上位表示を獲得するのは至難の業なのです。
僕自身の経験を例に出すと、以前、着物のレンタルを行うクライアント様からSEO対策のご依頼をいただいたことがありました。
その際に、成人式のために振袖のレンタルを考えているユーザーに向けて、「成人式」をキーワードとして設定し、上位化を目指そうと考えたんです。
しかし、「成人式」で検索してみると、着物レンタルだけでなく、美容院や二次会のパーティー会場 を提供する企業などもそのキーワードで対策していることがわかりました。
同業他社にくわえて、美容院やレンタルスペース会社といった他業種にも勝ち抜かなければならないとなると、対策の難易度は跳ね上がります。
こうした競合に勝つためには、魅力的なコンテンツの制作にくわえて、内部対策・外部対策なども必要になるので、膨大な時間がかかってしまうのです。
※クライアント様の特定を避けるために一部フィクションを混ぜております。
それに、 時間をかけたからといって必ず上位化できるとも限りません。
「ご依頼をいただいてから半年以上も経っているのに、何の成果も出ていない」となれば、クライアントに不満を抱かせてしまうリスクも高まるでしょう。
理由② 多額の費用がかかる
大手企業を含む競合に勝てるコンテンツを制作するには、やはり費用がかかります。
ビッグキーワードでは、一つのコラム記事で上位化することは難しく、何十または何百もの記事を制作して、やっと上位表示を獲得できるようになります。
そのため、社内にプロのライターがおらず、記事を外注する場合は莫大なコストが必要です。
ライターを社内で育成するという手もありますが、教育に時間がかかります。
自分たちの事業もあるなかで、成果の出にくいビッグキーワード対策に多くの人件費を割くのは、現実的ではないでしょう。
理由③コンバージョンにつながりにくい
そもそも、ビッグキーワードで上位化 しても、膨大なPV数を見込める一方で、商品の購入や問い合わせ(コンバージョン)につながる確率は高くありません。
たとえば、京都の旅館からSEO対策の依頼を受けて「京都 旅行」というキーワードでホームページを上位化できたとします。
多くのコンバージョンが期待できそうですが、そのキーワードで検索したユーザーの知りたいことは、観光地や交通手段、お土産など、人によってさまざまでしょう 。
したがって、せっかくビッグキーワードで上位化が叶っても、旅館のホームページは、それを必要としていないユーザーには不要の情報として流されてしまうのです。
ユーザーニーズが 混在しているため、コンバージョンに直結しにくい点も、ビッグキーワードのデメリットの一つです。
関連記事:CV(コンバージョン)とは?種類や改善方法について具体例を交えて解説
代わりにどのキーワードを狙えばよいのか?
ユーザーニーズを絞り込める「スモールキーワード」や「ロングテールキーワード」のほうが、ビッグキーワードよりも上位化を狙いやすく、コンバージョンも獲得できます。
スモールキーワードとは
検索ボリュームが少なく、3語以上で構成されるキーワードを、スモールキーワードといいます。
「新宿 三丁目 和食 1,000円」や「京都 旅行 伏見 縁結びスポット」といった、細かい指定のある検索キーワードのことですね。
スモールキーワードのメリット・デメリット
スモールキーワードは、ニーズが明確なユーザーに対して、ピンポイントで訴求できる点がメリットです。
先程の例でいえば「新宿 三丁目 和食 1,000円」と調べるユーザーは、すでに食べたいものや予算が決まっています。
そのため、ニーズに合致した「リーズナブルな新宿の和食屋さんのサイト」を上位化できれば、高確率でコンバージョンを獲得できるでしょう。
また、同じキーワードで対策している競合が少ないので、比較的簡単に上位化できる点もスモールキーワードのメリットです。
「京都 旅行」で検索すると、約1億6900万件ものサイトがヒットするところ、「京都 旅行 伏見 縁結びスポット」のヒット数は約123万件しかありません。
検索キーワードを2つ増やしただけで、約137分の1まで競合が減り、そのぶん上位化が容易になります。
一方で、デメリットとしては、検索するユーザーが少なすぎると、上位化してもPV数が伸びないことが挙げられます。
なんと「京都 旅行」の月間検索ボリュームが4万件以上あるのに対して、「京都 旅行 伏見 縁結びスポット」の検索数は0件です。
このように、あまりにもスモールキーワードすぎると上位化してもページを見てもらえないため、ユーザーニーズを研究し、的確なキーワードを選定することが重要なのです。
関連記事:SEOの基本はキーワード選定から!選び方やツールまで徹底解説
ロングテールキーワードとは
ロングテールキーワードは、ビッグキーワードとスモールキーワードの中間のような位置づけです。
「新宿 ランチ 和食」や「京都 旅行 伏見」など、2~3語程度で構成されており「ミドルキーワード」ともよばれています。
スモールキーワードよりも語数が少ないぶん、検索ボリュームが多いのが特徴です。
ロングテールキーワードのメリット・デメリット
ロングテールキーワードも、ユーザーニーズが顕在化しているぶん、コンバージョンにつながりやすいのがメリットです。
それでいて、スモールキーワードより検索数が多いので、ニッチすぎてPV数が見込めないというリスクは抑えられます。
ビッグキーワードとスモールキーワードのいいとこ取りで、上位化できれば、サイトに関心のあるユーザー層を一気に流入させられるキーワードです。
また、上位化したロングテールキーワードのコンテンツ内にリンクを設置すれば、ビッグキーワードで対策したコンテンツの評価にもつながります。
ただし、スモールキーワードほどではないにしろ、やはり検索数が少ない点はデメリットだと言えます。
そこで、専用ツールを使用したキーワード選定が重要になってくるのです。
関連記事:ロングテールキーワードの選び方とは?SEOへの影響とツールを紹介
ロングテールキーワードはどのように選定するのか?
ロングテールキーワードは、専用ツールを使うことで効率的かつ的確に選定できます。
一般的に使用されているキーワード選定ツールとしては、「キーワードプランナー」や「Ahrefs(エイチレフス)」があります。
キーワードプランナーの使い方
キーワードプランナーは、Googleが提供するキーワード選定ツールです。
キーワードごとの月間検索ボリュームや、入札単価などを無料で調べられます。
選定の手順を簡単に解説していきますね。
【関連記事】
Googleキーワードプランナーの使い方!初心者向けに基本を解説
エイチレフス(Ahrefs)とは?できることや料金について解説
手順①キーワードプランナーにログインする
ブラウザでキーワードプランナーのページを開き、「キーワードプランナーを使ってみる」をクリックしてGoogleアカウントでログインします。
手順②キーワードの検索画面を開く
左上の「新しいキーワードを見つける」をクリックしてキーワードの検索画面を開きます。
手順③検索する
検索窓に対策したいキーワードを入力したら「結果を表示」をクリックします。
手順④キーワードを選定する
対策キーワードに付随したキーワードが表示されるので、検索ボリュームのバランスを見ながら選定しましょう。
Ahrefs(エイチレフス) の使い方
Ahrefsは、全世界で利用されているSEO分析ツールです。
月額料金がかかりますが、キーワードの調査だけでなく被リンク数やトラフィックの調査、検索順位の確認などSEO対策を行ううえで便利な機能が豊富に備わっています。
すべての機能を詳しく紹介したいところですが、今回は基本的なロングテールキーワードの選定方法に絞って解説します。
手順①公式サイトにアクセスする
Ahrefsの公式サイトにアクセスします。
手順②キーワードの検索画面を開く
ログイン後、最上部の「Keywords Explorer」をクリックしてキーワードの検索画面を開きます。
手順③メインキーワードで検索する
検討しているメインキーワードを入力し、虫眼鏡のマークをクリックして検索をかけます。
手順④検索結果を確認する
関連キーワードが表示されたら「全て見る」を押します。
手順⑤キーワードを選定する
難易度やボリュームから対策できそうなロングテールキーワードを選出しましょう。
「KD(Keyword difficulty)」の数値がそのキーワードの難易度であり、数字が大きいほど上位化が難しいことを表します。
狙ったキーワードで上位表示を獲得するポイントは?
狙ったキーワードでの上位化を実現するには、次の4つのポイントを押さえることが大切です。
ポイント①E-E-A-Tが高い良質なコンテンツを作る
E-E-A-Tは、質のよいWebサイトを優先して表示させるために、Googleが独自に設定している評価基準で、これを満たしているほど、Google検索で上位表示されやすくなります。
E-E-A-Tは、「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trust(信頼性)」の頭文字です。
元はE-A-Tと呼ばれていましたが、2022年にExperience(経験)が追加されて現在のかたちになりました。
関連記事:E-E-A-Tとは?Googleで重視される理由とSEOにおける対策方法を解説
参考:品質評価ガイドラインの最新情報: E-A-T に Experience の E を追加
Experience(経験)
「経験(Experience)」では、コンテンツ作成者がトピックに対して実体験をもって書かれているかが評価されます。
たとえば、おすすめのイヤホンを紹介するコラムの場合、イヤホンの基本情報を書いているだけよりも、そのイヤホンで実際に音を聴いてみた感想を書いているコラムのほうが参考になりますよね。
また、コラムの執筆者が、家電量販店のオーディオコーナーを10年担当している販売員であれば、さらに情報の信頼度が上がります。
経験(Experience)の条件を満たすことで、ユーザーにとって、よりためになるコンテンツが発信できるようになります。
Expertise(専門性)
コンテンツがトピックについて深い知識や詳細な情報を示しているかどうかを評価するのが「Expertise(専門性)」です。
先程のイヤホンのコラムを例に出すと、イヤホンの価格や機能にくわえて、コーデックやレイテンシー に関しても解説しているコラムのほうが専門性が高いと評価されます。
あるいは、 イヤホンのなかでも「女性におすすめの商品5選」のように、限られたニーズに特化した内容にするのもよいでしょう。
専門性を高めるには、トピックに関する情報を網羅し、ユーザーニーズを絞ることが大切です。
Authoritativeness(権威性)
「Authoritativeness(権威性)」は、コンテンツの作成者が信頼できる情報を発信する人物であるのかという点を評価する基準です。
医師やコンサルタントなど、トピックに関する資格を取得していたり、造詣が深かったりする人物の監修があるコンテンツがAuthoritativeness(権威性)を認められます。
また、作成者自身に権威性がない場合であっても、ほかのサイトから複数の被リンクを受けていれば、有益な情報として上位化されやすくなります。
ただし、Googleの評価には被リンクの質も含まれているので「自作自演で大量にリンクを設置する」といった方法は通用しません。
権威性で上位化 するには、自社コンテンツと関連性の高いサイトや、ドメインパワーの強いサイトからのリンク獲得が必要です。
Trust(信頼性)
すでに述べた経験・専門性・権威性が満たされ、安全性や誠実性が高いと判断されたコンテンツは「Trust(信頼性)」も高いと評価されます。
たとえば、Webサイトの運営者情報をきちんと公開したり、ユーザーの個人情報を保護するためにSSL化(HTTPS)していたりすると、信頼性は高まります。
情報の移り変わりが激しい分野のコンテンツであれば、常に最新情報を更新しつづけることも重要です。
EEATについてこちらのコラムで詳しく解説をしております。是非とも参考にしてみてください。
ポイント②内部対策を実施する
自社サイトの内部に施すSEO対策を内部対策といいます。
Googleをはじめとした検索エンジンは、「クローラー」というプログラムがWebサイトのリンクを辿って集めた情報を、検索キーワードに応じて表示しています。
そのため、上位表示を狙うには、リンクからクローラーに見つけてもらわなければならないのです。
見つけてもらう方法としては、サイトの構造やHTMLタグの整備、自社コンテンツ間のリンク設置など、さまざまな方法があります。
最近、僕が実施した内部対策で特に効果があったのは、タイトルタグの修正です。
すでに公開されているコラムのタイトルのうち、上位化させたいキーワードをできる限り先頭に移動させ、30文字以内に収まるように変更した結果、検索順位が上がりました。
元のタイトルには複数のキーワードが含まれていましたが、それが原因でユーザーに伝えたい内容が曖昧になっていたため、最も伝えたいことは何かを考えて語数を絞りました。
また、キーワードが多すぎると、Googleにスパムと判断されて順位が下がるペナルティを受ける可能性もあるので、リスク回避の面も考慮しての修正です。
こういった内部対策は、一見地味に感じられるかもしれませんが、上位化を目指すのなら必ず押さえておきたい基本的なSEO対策の一つです。
スパムと判断される行為についてこちらのコラムで詳しく解説しております
ポイント③外部対策を実施する
外部対策は、ほかのサイトから被リンクを獲得することを指します。
そのためには、高品質なコンテンツ作成や、適職診断のような共有しやすいコンテンツの企画などが有効です。
さらに、ユーザーとの距離感が近いSNSを活かして、外部リンクを獲得することもできます。
以前、コラムを投稿した際に、クライアント様が運用しているTwitterやInstagramからも発信してもらうようお願いしたことがありました。
SNSはユーザーとの距離感が近く、ユーザーにとって共感できるコラムであればその投稿を自身が運用しているサイトやブログでおすすめしてくれる可能性が高いためです。
魅力的なコンテンツを作成したあとは、いかにして多くの場所で共有してもらえるかを考えて外部対策にあたりましょう。
ポイント④的確なキーワード選定
対策キーワードで上位化するには、キーワード自体を的確に選ぶ必要があります。
ビッグキーワードのようにニーズが絞れなかったり、反対にニーズが少なかったりするとコンバージョンには結びつきません。
先述のとおり、キーワードプランナーやAhrefsなどの専用ツールを使って、検索ボリュームとの バランスを考慮したうえで、キーワードを決定することが大切です。
その際は、検索ボリュームと競合の少なさを兼ね備えたロングテールキーワードを選びましょう。
ロングテールキーワードで上位化したコンテンツと紐づければ、結果的にビッグキーワードで対策したコンテンツの上位化にもつながります。
ビッグキーワードよりもロングテールキーワードのほうが上位化を狙いやすい
いかがでしたでしょうか。
ビッグキーワードは、検索ボリュームの多いキーワードのことであり、上位化が叶えば膨大なPV数が見込める一方で、コンバージョンに直結しにくいのがデメリットです。
しかし、2~3語で構成されたロングテールキーワードであれば、競合を減らしつつ、ニーズが明確なユーザー層にもアプローチできます。
また、対策キーワードで上位化するには、E-E-A-Tを意識したコンテンツ作りや、内部対策、外部対策をしっかりと行うことも重要なポイントです。
もしご自身でキーワードを選定するのが難しかったり、時間が無い場合は専門のSEO業者に依頼するのもおすすめです。
こちらの記事ではおすすめのSEOコンサルティング会社と、選ぶポイントを解説しております。
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監修者情報
監修者:寺西 翼
【株式会社eclore SEOコンサルタントチーム シニアコンサルタント】
Webマーケティング検定を取得。
SEOに関する知識のみならず、マーケティング施策への高い見識を保有。
10年間動物看護師として勤めた経験があり、そこで培った高いコミュニケーション能力を活かし、クライアントの本質的な悩みにアプローチしている。
主に担当している業界は歯科業界とフィットネス業界だが、あらゆる分野を対策可能。