取り組み報告

蓄積した情報を精査・選別したことで、圧倒的にわかりやすいマニュアルへ変化

今回紹介する事例

プロジェクト名:自社内のマニュアル改修プロジェクト
方針:誰が見てもわかりやすいマニュアルに変える
担当者:金澤 優理

2年間蓄積した情報を整理して、マニュアルの利便性を高めたい

プロジェクトが始動したきっかけは何ですか?

「もっと使い勝手が良いマニュアルにしたい!」と思ったのがきっかけですね。

Rank-Questのライティングチームには、漢字の閉じ・ひらきの表記や、文章の書き方のルール、案件ごとの決まりといったライティングに関する取り決め、一連の業務の流れなどをまとめたマニュアルがあります。
Microsoft OneNoteというデジタルノートツールにそれらを集約して、クラウド上でいつでも閲覧できるようになっているんですね。

2021年9月にライティングチームが発足した当時、メンバーから「ライティングのルールを集約したほうがよいのでは」という声が上がり、マニュアルが誕生しました。
それ以来、膨大なライティングに関する情報を毎週コツコツとまとめていきました。
ただ、頑張ってまとめていた反面、新たなルールができたらひたすらに追加していた状態で、内容や体裁はあまり整理されていなかったんです。

当時はせっかく有益な情報が載っているのに、マニュアル自体が読みづらかったり、必要な情報を探すのに時間がかかったりして、思うように活用できていなかったと思います。
これは、マニュアルを使う頻度が高い、入社して間もないメンバーはもちろん、情報が追加されたときに所属していた既存メンバーも同様です。

そこで、2023年10月末に立ち上げたのが “マニュアル改修プロジェクト”です。
私と、当時マニュアルの情報更新を担当していたメンバー2名、入社3か月のメンバー1名の計4名でチームを組み、“使いやすいマニュアル”を目指してスタートしました。

当初のマニュアルには、具体的にどのような問題がありましたか?

問題は、マニュアルとしての本来の機能を十分に果たせていなかったことです。

大きな要因は、当初のマニュアルの運用方法にあったのかもしれません。
ライティングチームでは、入社から数か月経ったメンバーにマニュアルの情報更新を担当してもらっています。
これは、マニュアルを更新することによって、ライティングチームのレギュレーションをいち早く理解・習得してもらうためです。

ただ、結果的に一部のページに関しては、理解が不十分なまま情報が追加されていたり、情報が古いまま更新されていなかったりして、内容がわかりづらくなっていました。
「マニュアルを読んでもよくわからないので、チームのメンバーに直接聞いたほうが早い」というケースもなかにはありましたね……。

文字のフォントやサイズがページによって違うことや、強調したい箇所に何種類ものマーカーが使われていたことによって、視覚的にわかりづらい状態になっていたのも、マニュアルの使いづらさに拍車をかけていました。
これは、体裁が特に決まっておらず、書き方をどうするのかは、更新を担当したメンバーに委ねられていたからです。

また、セクションの分け方も曖昧だったので、膨大なページのなかから必要な情報を探すために何往復かすることもあり、とにかく時間と手間がかかっていたんです。

内容・体裁・セクション分けにそれぞれ問題があったことで、使い勝手が良いとはいえないマニュアルになっていたと思います。

マニュアルを使うメンバーの目線に立って、情報を徹底的に精査

実施した改修内容を教えてください。

まず実施したのは、マニュアルを3つのセクションに分けました。
「内容ごとにセクションを分けることによって、使い勝手が良くなる」と考えたからです。

マニュアルの3つのセクション

  • 入社間もないメンバー向けの「ヤギの巻(ライティングの基礎編)」
  • 既存メンバーに向けた「虎の巻(ライティングの応用編)」
  • 一連の「業務マニュアル(社内ルール)」

ヤギの巻には、新規メンバーに最初に押さえてほしい、基本的な表記のルールやライティングの業務フローなどの情報をまとめることにしました。
ちなみにヤギの巻の名称は、ライティングチームで絶対に間違ってはいけない項目をまとめた“白ヤギルール”に由来しています。

虎の巻には、細かな言葉の使い分けやインタビューのコツ、薬機法といった応用的な情報を、そして業務マニュアルにはいわゆる社内ルールを追加すると決めました。

3つのセクション分けを決めたあとに行ったのは、約150あるマニュアルのすべてのページを一つずつ確認することです。
「そのページが3つのセクションのどれに分類されるのか」「そもそもこのページは必要なのか」をメンバー全員で話し合いながら判断したんです。

先ほど紹介した4名のメンバーでミーティングを開催し、デュアルモニターに各ページを映しながら、過去2年間の膨大な情報を精査しました。

マニュアル改修を行う際に、気をつけたことはありましたか?

気をつけたのは、ページの分類の作業をマニュアル原本ではなく、コピーしたマニュアル上で最初は実施した点です。
マニュアル原本上で分類の作業をいきなり行うと、マニュアルを現在進行形で使用している既存メンバーが混乱してしまう可能性があったためです。

なので、各ページを分類できた時点で、3つのセクションに分けることをライティングチームのみんなに周知しました。
周知できたら、ここからはマニュアル原本上でセクションを分ける作業を開始しました。
この時点で原本を改修し始めることで、作業の効率化が図れると考えたからです。

セクション分けが完了したところで、まずはヤギの巻のなかで、各メンバーに担当ページを割り振りました。
割り振り後は、内容の整合性をチェックし、わかりやすいマニュアルを目指してページのリライトを進めてもらいました。
その際、視覚的にわかりやすくするために体裁を統一しています。

すり合わせたマニュアルの体裁

項目 体裁
フォント 游ゴシック
文字サイズ 11(基本)
強調したい箇所 黄色のマーカー、太字
ページ内の見出し 見出し2
箇条書き 機能を使用する
例文の書き方 ▽例文
参考記事の入れ方 ▽参考URL
良い例・悪い例 「○×」、強調部分は赤文字
表の入れ方 見出し行:デフォルトの青色、白文字

マニュアル改修プロジェクトの始動から半年ほどの期間を経て、2024年3月中旬に、ヤギの巻が無事に完成しました!

マニュアル改修を行うなかで、苦労した点はありましたか?

苦労したのは、すべてのページを確認して、情報を取捨選択する作業でした。

「このページは必要ではない」と判断できることもあれば、新規メンバーにとっては「このページは必要かもしれない」と線引きに悩んで、迷うこともありました。
というのも、プロジェクトチームのメンバーはある程度業務に慣れていたので、新規メンバーの目線から少し離れてしまっていたんです。
業務に慣れていれば、都度確認する必要のない情報であっても、新人にとってはマニュアルにあったほうが助かるかもしれませんからね。

ページの必要性の有無に悩んだときは、当時入社3か月のメンバーに新規メンバーとしての意見を聞いたうえで、最終的には全員で話し合って決めました。

このような経緯があり、おそらく150ページ以上あったものを、議論を重ねながら精査したので1か月ほどかかりました。
ただ、この情報の選別を入念に行ったからこそ、“使いやすいマニュアル”に大きく近づけたと考えています。

ヤギの巻の改修において、特に工夫した点を教えてください。

常に意識していたのは、“入社間もないメンバーが読んで、理解できるのか”という点ですね。

ヤギの巻は、新規メンバーに必ず押さえてほしい情報が詰まっているセクションなので、
そこに書いてある内容を理解できないと、業務に支障が出る可能性があります。
ヤギの巻が最大限役割を果たせるように、迷ったときは常に新規メンバーの目線に立って考えていました。

また、情報を1ページにきちんとまとめるための工夫も施しました。
改良すべき点に挙がっていたように、そのページだけを読んでも意味がよくわからないものも少なくなかったんです。
情報を記載する順番や書き方に関しては、メンバー全員が共通認識をもったうえでリライトを進めてもらったので、わかりやすさが格段にアップしたはずです。

マニュアル改修を進めていくうえで、大切にしたことはありますか?

メンバーの負担が大きくなりすぎないように、気にかけていました。

というのも、マニュアル改修プロジェクトのメンバーには、通常業務に加えてこれらの作業をしてもらっていたんです。
プロジェクトに参加したことで、残業が増えすぎたり、ほかの業務に支障が出てしまったりすることがないよう、現実的に達成できそうなスピードで改修を依頼していました。
とはいえ、ある程度のスケジュールは決まっていたので、メンバーみんなよく頑張ってくれたと思っています。

もう一つ大切にしていたのは、マニュアル改修プロジェクトを「楽しい」と思ってもらうことです。
特にミーティングの時間は、リーダーとしてただ指示を出すのではなく、あくまでもメンバーと対等な立場で、全員で楽しみながら改修に取り組みましたね。
ミーティングの際は、会議室から大きな笑い声が毎回漏れ聞こえていた、とプロジェクト外のメンバーから言われたほどです。(笑)

リーダーという立場ではあったものの、「みんなで楽しく進めよう!」と意識していたことが、メンバーにも伝わったのかなと思っています。

方針を曲げなかったからこそ、誰にとってもわかりやすいマニュアルを実現できた

マニュアルを改修した結果、どのような成果を実感することができましたか?

大きな成果は、新人教育の際にマニュアルを信頼して活用できるようになったことです。

改修前のマニュアルも教育時に使ってはいたのですが、「このページを一読しておいてね」と指示を出しづらかったり、「情報が古いかもしれない」と不安もあったりしたんです。

まずヤギの巻を改修したことで、「ここには、確実にライティングの基礎がまとまっている」と安心して、教育時にマニュアルを使えるようになりました。
改修したマニュアルが教育の実務で活用されるようになり、新人と教育担当者の双方にとって、“使いやすいマニュアル”になったのを感じています。

また、マニュアルを3つのセクションに分けたことで、必要な情報を探す時間が減り、改修前とは比較にならないほど使いやすくなりましたね。
最初に決めた「誰が見てもわかりやすいマニュアルに変える」という方針を貫徹したからこそ、出せた成果だと考えています。

ヤギの巻が完成した、率直な感想を教えてください。

「信頼して使えるマニュアルができてよかった!」というのが率直な感想ですね。

教育という実務においてマニュアルを活用できるようになったのは、先ほどお話しした通りです。
ヤギの巻の改修作業当時は、新人の入社日が近くに決まっていたこともあり、マニュアル改修プロジェクトのメンバーには本当に頑張ってもらいました。
通常業務もあるなか、このプロジェクトに携わってくれてとても感謝しています。

プロジェクトメンバーの3名は、「正直大変だったけど、使いやすいマニュアルになってよかったです」と言ってくれて、私も嬉しい気持ちになりました。

ヤギの巻に関してはひと区切りつきましたが、虎の巻と業務マニュアルの2つは現在進行形で改修しているので、“新マニュアル”の完成に向けて引き続き頑張っていきます。

マニュアルの改修を完了して、ライティングチーム全体をさらに成長させたい

プロジェクトを経て、今後のマニュアルの運用に関して目標があれば教えてください。

まず、虎の巻と業務マニュアルの改修を完了して、本当の意味で“新マニュアル”を完成させたいです。
2024年の8~9月末を目標に、メンバーと協力しながら残り2つのセクションの改修に取り組んでいます。

運用に関しては、今後マニュアルを更新する担当メンバーが交代しても、過去のように体裁が崩れて、使いづらいマニュアルに戻ってしまわないように管理していきたいですね。

また、「もっとマニュアルが使われるようになると嬉しいな」とも思っています。
漢字の閉じ・ひらきの表記や案件ごとの決まりといった頻繫に使うページだけでなく、細かな言葉の使い分けなどの応用的なページも活用して、文章のレベルアップを図ってほしいです。

マニュアルの項目を遵守し、文章の品質を上げるためのアドバイスを積極的に取り入れることが高品質なライティングの実現につながります。
これを叶えられるのが、ライティングチームのこだわりが詰まったマニュアルなのです。

マニュアルの利便性をより一層高められるように、残りの改修を完了させ、ライティングチーム全体の更なるスキルアップを目指していきます。

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